BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・71/樋口一希/長谷工グループのLIM運用  [2018年10月11日]

「ZUKKU]による健康増進サポートのイメージ

 前連載「BIMの課題と可能性」第79~81回で「長谷工コーポの『究極のBIM運用』」と題してマンション専業ならではの長谷工グループのユニークなBIM運用について報告した。進化系としてBIMと合わせて「住まい情報と暮らし情報のプラットフォーム」構築を目指すLIM(Living Information Modeling)の最新動向を紹介する。

 □対話型AIロボット「ZUKKU」を活用した高齢者の健康増進へのサポート実証実験□

 長谷工グループでは、AI(人工知能)やロボット、センサー、通信などのノウハウを有する外部企業と協働する「オープンイノベーション」戦略を採用。その一環としてマンション居住者のあらゆる情報をデータ化、可視化することで安全・安心やニーズに合った管理、情報サービスや見守り、防災対応などを提供するシステム「LIM」を運用している。
 高齢者が健康で豊かに暮らせるマンションライフの実現に向けて、長谷工アネシスと長谷工シニアホールディングスが主導し、ハタプロと共同で手乗りサイズの対話型AIロボット「ZUKKU(ズック)」(以下「ズック」)を活用した高齢者の健康増進サポートの実証実験を行った。
 オープンイノベーションパートナーのハタプロは「モノづくりとIT技術で、次の時代をつくる」を軸にさまざまな製品を開発しているロボットベンチャー企業。

 □ロボットからの話しかけで得られる暮らし情報の取得+最適な食事や健康などの情報提供□

 高齢化社会への対策が喫緊の課題となる中、健康寿命の重要性に対する認識の高まりから、長谷工シニアでは、運営する高齢者住宅においてコミュニケーションロボットを活用した介護予防体操(ゆうゆう体操)の普及も進めている。18年5月からは自立型の有料老人ホームにおいて入居者に対する「ズック」からの話しかけで得られる暮らし情報(食事バランス、活動、社会参加状況、体調など)の取得とその情報に基づく最適な食事や健康などの情報を提供するための実証を行った。
 「ズック」は身長が10センチメートルの安価で手軽に導入できる手のひらサイズの対話型AIロボットだ。スイッチ一つの稼働によって特別な設定も不要でクラウドと通信できる。図にあるように、「ズック」の音声とタブレットの画面表示による話しかけで得られる情報は、クラウド型マーケティング管理システムに蓄積して可視化し、介護者、入所者ともどもを手助けするさまざまな提案や行動を促進する。

 □対象者へのセルフチェック結果の項目をフィードバックしたところ約8割の項目に改善あり□

 実証実験は、平均年齢76歳の有料老人ホームの入居者5名に対して5~8月にかけて行われた。
 「ズック」の音声とタブレットの画面表示による話しかけに基づく対話ログや毎日のセルフチェックによる暮らし情報を取得。続けて「ズック」との会話により取得した暮らし情報を基に生活改善につながる情報を提供している。
 情報の提供による生活改善などの変化については、効果として能動的な操作が求められるスマホとは異なり、「ズック」から話しかけられることで暮らし情報の取得と情報提示による生活の変化を確認できた。対象者5名のセルフチェック結果の改善項目をフィードバックしたところ、約8割の項目に改善が見られた。
 今後は対象者を拡大して情報量を増やすとともに、高齢者向け健康増進サポートのプラットフォーム構築を進めていく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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