技・人づくり専門工事業ファイル・17/ジェイシフ関東/競技大会重ね技を高める

2018年10月31日 トップニュース

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 ◇担い手確保へ業界の魅力発信

 関東建設インテリア事業協同組合(ジェイシフ関東)は、「人材育成」と「品質向上」を柱に活動している。毎年開催している技能競技大会は今年9月の大会で31回目を迎えた。6月の総会で就任した高野寅吉理事長(高野社長)は、組合員同士が技を競い合うだけでなく、来場する工業高校生らに興味を持ってもらえるよう、イベント色のある大会運営を心掛けていると説明する。
 熟練技能者が技能の日本一を競い合う技能グランプリ(厚生労働省ら主催)の出場選手を選抜する技能競技大会は、技を競って順位を付ける競技志向の意味合いが強かった。建設業界全体で若手入職者が不足する中、2年前から「来場者に楽しんでもらう」ことにも注力。高野理事長は技能者の技を通じて「多くの人たちに感動を与え、やりがいのある仕事だと思ってもらえるようなイベント志向も取り入れることにした」と語る。
 工高生らに来場してもらうほか、技能者の家族も普段は見ることができない「お父さんの仕事」を知ってもらうきっかけにしているという。高野理事長は業界に魅力を感じてもらうことが、結果として「多くの若い人たちに入職してもらう環境作りにもつながっていく」とみる。
 現状、日本建設インテリア事業協同組合連合会(ジェイシフ)傘下の団体で大会を実施しているのはジェイシフ関東だけ。他地域の組合とも積極的に交流していこうと、今年の大会には中部建設インテリア事業協同組合(ジェイシフ中部)のメンバーも参加し、関東勢と技を競い合った。
 こうした交流を今後も継続。高野理事長は「東京、大阪、名古屋の都市部の組合が連携することがジェイシフ全体の活性化にもつながると思う」とする。
 「魅力ある業界にする」という取り組みの一環で高野理事長が力を入れるのは、昨年度から始動した出前講座だ。本年度は8月3日に東京都立東京工芸高校で開き、12月3日には都立城南職業能力開発センターでインテリア関連の訓練生にも業界の活動を発信する機会を得た。これまでの出前講座でも参加者の多くが興味を持ち、「職人になりたい」と話す人もいるなど手応えを感じている。
 加えて本年度は、入職促進を目的に業界の仕事をPRするDVD制作も予定。今後具体的に中身を詰めていくこととしている。
 こうした広報活動に加え、ジェイシフ全体でこれまでも力を入れてきた自主的施工管理体制の確立を含めた取り組みを通じて、品質向上と人材育成という二大目標をかなえていきたい考えだ。
 開催まで2年を切った2020年東京五輪にも「何らかの形で参加したい」と高野理事長。今後、関連するメーカーなどとも協力しながら業界が団結することで、絶好のPRの機会を創出したいと考えている。具体的な内容は検討するが、「開会式のレッドカーペットをジェイシフで作ることができれば」などと青写真を描く。
 =随時掲載