紙面で振り返る平成の歩み・9/9(1997)年/公共工事コスト縮減へ行動指針

2019年2月18日 トップニュース

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 △公共工事コスト縮減指針、官需縮小が加速
 △信用不安で建設市場に再編・淘汰の波
 △行革議論が活発化、国交省発足へ
 公共事業への風当たりが一段と強まる中、政府は公共工事のコスト縮減の取り組みを本格的にスタートさせた。1月に関係閣僚会議が発足し、4月には「3年間で10%以上」という削減目標を盛り込んだ行動指針を決めた。計画・設計や技術基準類の見直し、VE方式による工事発注などを推進。財政難の自治体も国の動きに呼応し、公共投資を抑える流れが加速していった。
 4月の消費税率5%導入などもあり、景況感に改善の兆しは見えてこない。景気の悪化から銀行が貸出先の選定を始め、負債を抱え倒産する上場ゼネコンも出た。建設関連の株価は全面安となり、信用不安の一掃に向けて建設各社は経営改善計画を発表。トップ交代で経営体制の刷新を図る企業も相次いだが、建設市場での再編・淘汰(とうた)の波は一段と激しさを増すことになる。
 2001年の移行を目指した省庁再編の最終報告(12月)では、建設、運輸、国土、北海道開発の4省庁を統合して「国土交通省」の設置を明示。当時の瓦力建設相は「国土計画・国土行政を的確に進めるためには、社会資本整備に関連する行政を一体化する必要がある」と強調した。
 採択から一定期間を経過した公共事業の抜本的な見直しに向け、当時の橋本龍太郎首相が12月に公共事業の「再評価システム」(時のアセス)の導入を表明。同月には20世紀を代表する土木プロジェクトの一つである東京湾アクアラインが開通した。