紙面で振り返る平成の歩み・14/平成14(2002)年

2019年2月22日 トップニュース

文字サイズ

 △ゼネコンに再編・淘汰の荒波が押し寄せる
 △建設投資が16年ぶりに60兆円割れ
 △九つの長期計画を廃止し、一本化の方向に
 不良債権処理に苦しむゼネコンに再編・淘汰(とうた)の荒波が押し寄せた。4月に日東大都工業と三井不動産建設が持ち株会社方式で経営統合し「みらい建設グループ」が発足。10月にはピーエスと三菱建設が合併し「ピーエス三菱」が船出した。三井建設と住友建設は対等合併による経営統合を発表し、翌年4月に「三井住友建設」が誕生するなど、企業再編が進んだ。ゼネコン間での業務・資本提携の動きも活発化する一方で、会社更生法や民事再生法など法的整理の手続きに入る企業も相次いだ。政府は不良債権処理を加速させるため、再生可能な企業の受け皿となる「産業再生機構」の創設を決めたが、建設会社の利用要件は厳しく、再生を持ち込んだゼネコンはいなかった。
 建設市場は急激に冷え込み、建設投資が16年ぶりに60兆円を割った。投資額と業者数のバランスが崩れ「供給過剰」産業とも言われた。公共事業では国土交通省が所管する九つの長期計画の廃止が決まり、その後「社会資本整備重点計画」に一本化された。国、地方自治体とも財政状況が悪化する中で、PFI事業が急増。3月に都市再生特別措置法が成立し、大都市圏を中心に都市再生事業が本格的に始動した。
 マンション建て替え円滑化法や改正ハートビル法、官製談合防止法(議員提案)、土壌汚染対策法など建設業に関連する法律が数多く成立。このうち官製談合防止法は公務員が談合行為に関与した場合の処罰などを規定したもので、公正取引委員会による公共発注者に対する改善措置要求や関与した職員に対する損害賠償請求などが盛り込まれた。