紙面で振り返る平成の歩み・20/20(2008)年/国土形成計画を閣議決定

2019年3月1日 トップニュース

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 △建設会社の資金繰りが悪化、倒産企業が増加
 △調査基準価格の算定方法を22年ぶりに見直し
 △国土づくりの方向性を示した国土形成計画決定
 この年の最大の出来事はリーマン・ショックを契機とした世界的な金融危機。前年のサブプライム住宅ローン問題で、年初から日本市場でも海外資金の引き揚げが続き、企業の資金繰りが悪化。新興デベロッパーや建設会社の倒産が相次いだ。公共事業費の低迷に加え、都市再生や不動産証券化などで好調だった都市部でも、年後半から建設需要に陰りが見え始めた。
 国土交通省は建設会社の資金繰り改善策として、従来の下請セーフティーネット債務保証事業を拡充。さらに公共工事の請負代金債権を利用した新融資制度「地域建設業経営強化融資制度」をスタートさせた。資材価格の高騰などを踏まえ、鋼材類と燃料油を対象とした単品スライドも開始。その後、アスファルト合材も品目に加えた。一方、全国で横行するダンピング受注の防止策として、低入札価格調査制度の「調査基準価格」を22年ぶりに改正。算出方法を見直し、予定価格の「70~76%」だった基準価格の水準をおおむね「80~82%」に上昇させた。総合評価方式も関係省庁連絡会議を開き、各省庁が原則、同方式を行うことを申し合わせた。
 国づくりに向けた新たな枠組みも策定された。政府は今後10年間の国土づくりの方向性を示す「国土形成計画」を7月に閣議決定。これを受け、全国8広域地方ブロックで「広域地方計画」の検討が開始された。前年の改正建築基準法の施行に続き、改正建築士法が11月に施行。建築士の定期講習の義務付けや、構造設計1級建築士・設備設計1級建築士制度が創設された。