技・人づくり専門工事業ファイル・20/日板協青年部/スローガンは「チャレンジ」

2019年4月2日 トップニュース

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 ◇活動を業界の未来につなげる
 日本建築板金協会(日板協、石本惣治会長)に所属する40代が中心の若手経営者らでつくる青年部(部長・村田豊MURATA社長)は、「チャレンジ」をスローガンに活動を展開している。いずれ親会の活動に参加するようになるまでの間、例え失敗しても業界の未来につながる取り組みに果敢に挑んでいこうという、村田部長の思いが込められている。
 青年部の活動の一つに、静岡県富士宮市にある富士教育訓練センターを会場に毎年開いている全国建築板金競技大会がある。主催は親会だが、青年部メンバーたちが運営面で支えている。今年2月の第41回大会での開会式で村田部長が「この業界を変えるのは俺たちだ」と訴えたことにも、この大会が建築板金業界の未来をつくる上で不可欠なイベントととらえていることをうかがうことができた。
 一枚の板金から課題の工作物を作り上げる「技能競技」、与えられた課題に対する納まり図を描く「建築技術」の二つの部門で繰り広げられる競技は全て手作業で行われる。施工の効率化が求められる中でも手作業で行う伝統的な技能・技術がなくなることはない。競技大会には、実際に参加する選手、それを応援する人たちに建築板金の技能・技術を伝承していくという大きな狙いがある。
 今年の大会では、歴代優勝者が高い技術・技能を競うグランドチャンピオン大会も初めて行われた。「歴代優勝者の手際の良さや技術をみんなに見てもらいたい」。そんな村田部長の強い意向で企画されたもので、今後も定期的に催していきたいとする。
 建築板金業界は、屋根工事や雨漏りへの対応など、生活の重要な役割を担う仕事を手掛ける。高所での作業が多く、建設業界にあって3K(きつい、汚い、危険)の代表格ともいえるが、知名度が必ずしも高いとはいえない。
 「自動車板金とも全然違う仕事であることを、若い人たちに伝え、この業界に入ってもらえるようにしたい」と話す村田部長は、建築板金業界の役割を知ってもらうために競技大会を毎年開催する狙いがあるとする。
 青年部ではそのほか、親会事業の一環となる次世代研究会を毎年各地で開催。担当県がどんなテーマを取り上げるかを自ら企画して、メンバーが一堂に会して勉強する機会とする。
 その他、新規事業と位置付ける取り組みを過去2回実施した。秋田県では建設中の美術館、金沢市では金沢城の屋根修復を見学し、「実際に施工を手掛ける人に講師をお願いして学ぶ機会を得た」。今年の開催へ現在計画しているのが長野県でのかやぶき屋根の施工の見学と体験だ。「屋根を手掛けるプロとして、かやぶきを含めて知識を得よう」。そんな意図で今回の事業を企画したという。
 新たな事業にも取り組みながら、業界の未来に向けた活動を展開する青年部では、20日に各県組合の青年部長を集めた総会を開催する。青年部活動の在り方や青年部長の役割などを改めて考え、今後の事業に反映させる機会と位置付けている。
 =随時掲載