建設キャリアアップシステムへの道・7(おわり)/本運用へスムーズな移行を

2019年3月5日 トップニュース

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 ◇大小さまざまな現場で検証
 建設キャリアアップシステム(CCUS)の4月からの本運用を控えた現在、24現場を対象に実際のカードリーダーを使った限定運用が行われている。現場で想定される各種課題を検証しながら、本運用へとスムーズに移行できるようにするのが狙いだ。
 限定運用では、建築、土木、住宅の新築や改修など、さまざまなタイプの現場を選定。全国規模のゼネコンが元請の現場だけでなく、地域建設業、ハウスメーカー、地元の工務店なども参加している。
 1月15日、限定運用の初弾現場として大成建設が施工する「(仮称)麹町五丁目建設プロジェクト」、鹿島が施工する「赤坂5丁目プロジェクト」が始動。両現場とも据え置き型のカードリーダーを配備し、現場に従事する技能者が持つカードをタッチし、それぞれの就業履歴がシステムに蓄積されていく様子を確認した。
 現場に従事する職長の一人は、「初めての元請の現場でも職歴が客観的に証明できる」とCCUSのメリットを語り、工事規模や元請にかかわらず、あらゆる現場で取り入れてほしいと訴えた。
 地域建設業を代表して限定運用に参加しているのが中筋組(島根県出雲市、中筋豊通社長)と中野土建(長野県中野市、藏谷伸一社長)の2社。
 中筋組が施工する道路工事「大田静間道路静間川橋下部第3工事」(国土交通省中国地方整備局松江国道事務所発注)では、市街地から離れた現場で必要なインターネット環境に支障がないかが検証ポイントの一つとなった。
 同現場では、現場事務所と施工場所が離れている。そこで技能者の利便性を考慮し、就業履歴の登録を現場事務所ではパソコン、施工場所では現場監督が持参した就業履歴登録アプリ「建レコ」をインストールした米アップルのタブレット端末iPadを使って行えるよう、限定運用の中で動作確認を行った。
 中野土建が施工する建築工事「北信合同庁舎耐震改修工事」(中野市発注)に従事した技能者の1人は、「これまで現場ごとに(就労履歴を)説明しなければならなかった」とし、自身の経歴を簡単に伝えることができるCCUS導入の効果を評価した。
 全建総連首都圏建設産業ユニオンに参加する工務店の大安建設(東京都足立区)が施工する限定運用現場は、埼玉県草加市の民間マンションをリフォームする工事。iPadを現場の棚の上に置いておき、動作確認した。
 こうした小規模な住宅リフォーム工事では、複数現場を対象として機動的にカードリーダーをセットして運用することも課題となる。加えて、就業履歴を蓄積する前段階で、現場・契約情報の登録や施工体制登録などを簡便な方法で行うことの重要性も確認することができた。
 CCUSの本運用開始まで残り1カ月を切っている。限定運用を進める各現場で運用上の課題を検証しながら、円滑な運用に万全を期すことが期待されている。