日建連発足10年の軌跡

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日建連発足10年の軌跡・下/働き方改革で魅力創出/コロナ禍乗り越え持続的発展  [2021年3月17日]

建設投資額は回復基調にあるが、建設業就業者数はピーク時の約7割のままで横ばいだ(日建連「建設業ハンドブック2020」から引用)

 景気の影響を受けやすい建設産業。長期的な視野から力強い産業の構築を目指し、日本建設業連合会(日建連)は2015年に「再生と進化に向けて-建設業の長期ビジョン-」を発表した。同ビジョンでは建設技能者が減少する中、10年後も同様の建設需要を満たすため、生産性向上による省人化で35万人、新規入職者90万人を確保するという目標を掲げた。技能者の世代交代を図り、将来の担い手を確保・育成していくためには技能者の処遇改善が欠かせない。切り札となるのが建設キャリアアップシステム(CCUS)だ。

 日建連は15年にCCUS推進本部(旧就労履歴管理システム推進本部)を設置。19年4月の本運用開始前から率先して会員企業の登録を急いだ。モデル現場を通じ、下請企業にも登録を働き掛けてきた。山内隆司会長の強いリーダーシップで国土交通省を巻き込んだ普及活動に発展。国交省は「23年度からあらゆる工事でCCUS完全実施」の方針を打ち出した。

 日建連は17年12月に「週休二日実現行動計画」を策定し、現場の週休2日をはじめ建設業の働き方改革をけん引してきた。働き方改革を支えるのが生産性向上の取り組みだ。省人化となるロボットやICT(情報通信技術)、BIM/CIMを活用した新しい建設生産システムの構築が産業の魅力を創出し、担い手確保へつながる好循環を生み出す。現場導入の障害となっている課題を整理し、関係機関に働き掛けてきた。

 日建連は14年に建設業で活躍する女性の愛称を「けんせつ小町」と命名。15年からは女子小中学生と保護者を対象とした「けんせつ小町活躍現場見学会」をスタートした。女性目線の安全・品質活動に取り組むけんせつ小町工事チームの登録は8日時点で396チームに上る。女性の入職者を増やす活動を地道に続け、建設業で働く女性を取り巻く環境は大きく変化した。

 3団体合併の成果の一つが「日建連表彰」制度だ。19年9月に誕生した。新設した土木分野の「土木賞」と歴史のある建築分野の「BCS賞」で構成する。時代の要請や課題に対応した新たな評価軸を設けるなど、日建連が担ってきた活動を体現している。

 21年度から新体制へ移行する。4月28日の定時総会・理事会で次期会長に就く宮本洋一副会長は「持続的な発展に力を注ぐ」と強調する。土木本部長にポジションを変えて会長を支える押味至一副会長は相次ぐ自然災害を踏まえ、「国土強靱化の必要性をより多くの方に理解してもらう努力を続ける」と力を込める。

 CCUS普及や週休2日の実現といった従来の課題とともに、「デジタル」「グリーン」といった新しい課題に取り組まなければならない。活動の継続性を重視しつつ、アフターコロナを見据えた新しい10年へと歩みを進める。

 (編集部・田村彰浩)

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