トンネル工事を安全に-粉じんガイドライン改正

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トンネル工事を安全に-粉じんガイドライン改正・中/測定とマスクで一部に混乱  [2021年3月31日]

日本作業環境測定協会(清水英佑会長)による較正作業。トンネル現場向けが急増している

 「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」の改正で注目点の一つが呼吸用保護具(マスク)の使用基準の強化だ。掘削やずり積みなどの作業時に粉じん濃度などを測定。この平均値などを用いて算出した「要求防護係数」に沿って電動ファン付きマスクを選び、使用することが義務付けられる。▽定置式▽現場従事者の身体に装着▽車両系機械への装着-のいずれかで、半月に一度、ずい道建設工事1サイクルの全時間での測定を求めている。
 吸引性粉じんを取り入れる機構を持つ測定装置が対象で、現状で該当するのは柴田科学(東京都台東区、柴田眞利社長)の定置式デジタル粉じん計「LD-5R」と、身体装着式デジタル粉じん計「LD-6N2」にとどまる。全時間測定となると従事者への装着は現実的ではなく、実質的には「LD-5R」の1機種という状況だ。トンネル現場で主に使われてきた粉じん計と異なるため、新たに準備が必要となりそうだ。
 定置式の場合、切羽からおおむね10メートル、30メートル、50メートル地点の両側で同時に測定するため、最低6台必要となる。第三者機関が測定器の感度や安定性などを確認する「較正(こうせい)」も1年に一度、義務付けられているため、予備の粉じん計を確保する場合は、さらに台数が増える。
 ガイドライン改正をきっかけに同機種のニーズが急増し、柴田科学は生産ラインを増強。十分に供給できる体制を整えているが、ゼネコン関係者から「早めに測定器を確保するよう指示したが、無いという答えが返ってきた」との声もあり、混乱が生じている様子がうかがえる。
 電動ファン付きマスクへの対応にも懸念が募る。性能が高い順にS級、A級、B級という3段階が設定されており、現状ではB級が一般的だ。測定の結果、要求防護係数が現状よりも高くなれば、より高いレベルの電動ファン付きマスクを使用しなければならない。
 マスクメーカーの興研(東京都千代田区、村川勉社長)は、B級とS級を販売しているものの、A級は用意していない。S級であればどの環境にも対応できるが、フィルター価格はB級の2倍程度になる。「改正ガイドラインに対応した電動ファン付きマスクを準備中」(別のメーカー担当者)という動きもあるが、工事コストに見合った適切なマスクを十分に確保できるのか不安視する向きがある。
 あるゼネコンの担当者は「測定機器や電動ファン付きマスク、最適な換気設備、コンクリート吹き付け時の粉じんを抑制する液体急結剤など、コストをかければどれも対応は可能だ。問題は発注者が積算で見てくれるかだ」と指摘。これに対し、国土交通省は「実態に応じて適切な対応をしたい」(官房技術調査課)という。だが、すべての発注者が即座に改正ガイドラインに沿った対応をしてくれるかは疑問だ。

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