洋上風力発電施設の整備や完成後の維持管理に欠かせない基地港湾。2019年11月に成立した改正港湾法により、国が埠頭(ふとう)などを再整備し基地港湾として機能を強化した上で、事業者に最長30年貸し付ける。洋上風力の普及拡大に当たり、国土交通省の高田昌行港湾局長は「再整備の遅れや基地港の不足など、港湾が事業の足かせにならないよう、各地の状況を見ながら適切に対応していく」と力を込める。
--基地港湾の整備・拡充をどう進める。
「基地港湾だけで洋上風力発電施設の建設に要する全ての機能を担うのは合理的ではない。十分な地耐力がいる重厚長大な部材を扱う基地港湾、他の部材は周辺の港湾といった使い分けなど、既存ストックを最大限に有効活用する観点も重要だ。常に費用対効果を考え、コスト縮減の可能性を多面的に検討する」
「当面は指定済みの4港(能代、秋田、鹿島、北九州)で足りると考えている。整備には時間がかかり、官民協議会の検討会などで早め早めの検討を進める。洋上風力では基地港湾といったハードのインフラ部分だけでなく、施工管理などソフトの技術も非常に重要になってくる」
--技術面での課題は。
「日本特有の地震や台風といった厳しい自然環境を考えれば、洋上風力で先行する欧州の技術や基準類を、そのまま適用できないだろう。今後は脱炭素化を意識した施工も重要だ。わが国にふさわしい形は何なのか、安全性と効率性を担保しながら慎重に検討する。日本企業が長年培ってきた海洋土木技術は、世界と比較しても遜色ない。欧州の技術も取り入れ、さらに進化・発展させてほしい。日本の建設産業が洋上風力産業の主役として成長することを期待している」
「浮体式は検討を開始したばかり。土木工学は経験工学であり、(着床式に比べて)浮体式はこれからいろいろなものが初めて明らかになる。(沿岸からより遠く離れた)現場の厳しい自然条件は十二分に認識している。さまざまな要望を聞きながら、大胆かつ細心の注意を払って取り組みを進めたい」
--カーボンニュートラルポート(CNP)構想の具現化も進める。
「石油や石炭などの化石燃料を運び込み、関連産業が集積する港湾を中心とした脱炭素化の取り組みは、効果的で効率的だ。洋上風力だけでなく、さまざまな産業や国内外の地域とつながる港湾は、脱炭素化の波及効果も大きい。周辺で発展してきた化石産業を水素産業に転換しながら、民間のESG(環境・社会・企業統治)投資を呼び込む」
「取り組みが遅くなれば海外に投資が流れてしまう。CNPの実現にはスピード感が重要で、地元の頑張りも欠かせない。全ての港で脱炭素化を進める必要があるが、国際戦略港湾は一丁目一番地でしっかり対応しなければいけないところ。よりクリーンでクオリティーの高い港湾になることで国際競争力も高まる」。







