デジタルで建設をDXする・66/樋口一希/点群データのクラス分類作業を効率化

2022年7月7日 ニュース

文字サイズ

 ローカスブルー(東京都渋谷区)は、LiDAR(※1)やレーザースキャナーなどで取得した点群データをオンラインで高精度にクラス分類・解析する「ScanX(スキャン・エックス)」の新バージョン「ScanX Ver.2.0」の提供を開始した。多くのBIM関係者からも最新のトレンドとして注目を集めているLiDARの関連事例として追加報告する。
 (※1)LiDAR=ライダー(light detection and ranging)。光による検知と測距の意味。
 □Webブラウザと汎用(はんよう)型パソコンで複数現場にまたがるデータを複数のユーザーで同時処理□
 新バージョン「ScanX Ver.2.0」は点群データの分類精度が向上、3次元地図上に点群を表示し関係者間でデータ共有する際の管理セキュリティー能力を強化している。初見で操作する際にも直感的に操作できる画面デザインに一新するとともに、月額2万9800円(税込み)から機能や用途に応じてプランが選べるようになっている。
 ScanXは、Webブラウザと汎用型パソコンだけで複数現場にまたがるデータを複数のユーザーで同時に処理でき、作業の効率化を実現するソフトウエアで、2020年9月にリリースされ、すでに40都道府県に及ぶ建設、土木、測量業界での活用が進んでいる。21年度には国土交通省の「i-Construction大賞」で大臣賞を受賞しており、NETIS(※2)にも登録されている。
 (※2)NETIS=国土交通省によって運営され、民間企業などにより開発された新技術に関わる情報を共有・提供するためのデータベース。New Technology Information Systemの頭文字をとってネティスと呼称される。
 □共有リンクによりファイルやフォルダごとに管理者・編集者・閲覧者と権限を分けて共有□
 LiDARなどで取得した点群データをScanXにアップロードすることによって高度なクラス分類、ノイズ除去、地表面抽出が自動的に行われるため、従来、手作業で行っていた分類に要する時間を他の業務に振り向けることが可能だ。ScanX上では複数の点群データも並列に自動処理するため作業時間の短縮にもなる。クラス分類された点群データは、共有リンクするURL情報の発行でスムーズに関係者で共有できる。新バージョンでは共有リンクの管理セキュリティー機能を強化、ファイルやフォルダごとに管理者、編集者、閲覧者と権限を分けて共有できるのに加えて、データ閲覧のみの公開用リンクも発行可能となっている。
 点群データの自動分類の精度も向上している。具体的には、点群データの取得手段やエリアタイプ(山間部、都市部)などの特徴に応じた点群分類アルゴリズムを開発し、実装したことで分類精度の向上を実現している。
 □設計・測量関連の3次元・2次元データを取り込むことで点群データと重ねることが可能□
 ベースマップ(3次元地図)を搭載し、点群データ以外のデータ取り込みに対応している。分類された点群データはベースマップ上に表示されるため、データ取得箇所がより明確で分かりやすくなっており、プロジェクトの計画や進捗(しんちょく)状況などの説明時にも見える化効果を発揮する。新バージョンでは点群データだけでなく、ScanX上に設計・測量関連の3次元・2次元データを取り込み、点群データと重ねることが可能となっている。
 出来形帳票生成機能を新バージョンで搭載している。そのため設計データと点群データをScanXにアップロードすることで、国交省の土木工事施工管理基準および規格値に準拠した帳票出来形合否判定表を生成できる。
 新バージョンでは、利用機能やデータ容量、用途によってプラン選択が可能となっている。「ベーシック」は点群の基本的な処理ができるプランで2万9800円、「プロ」は設計面のインポートや出来形管理帳票が付いたプランで4万9800円、「エンタープライズ」は多数の現場や大容量のデータを扱うプランで11万9800円。初期費用不要で、金額はいずれも月額利用料となっている。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)