市況変動/官民協働で価格転嫁の好循環構築、民間工事・元下間の普及が鍵

2022年4月26日 トップニュース

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 高騰する建設資材の価格転嫁対策が動き出す。国は26日にも緊急対策を決定し、官民の発注者に取引価格を反映した適正な請負代金の設定などを呼び掛けていく。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は資材高騰の最新状況に関する発注者向け説明資料を作り契約交渉などで役立てる。賃上げによる処遇改善の流れを止めないためにも、地方自治体や民間発注者も含め受発注者協働による価格転嫁の好循環構築が待ったなしといえそうだ。=4面に関連記事
 国が26日にも決定する原油価格や物価高騰などに対応した「総合緊急対策」では価格転嫁の円滑化対策が盛り込まれる見通し。官民双方の発注者などに対し原材料費の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や、適正な工期の確保を働き掛ける。
 ポイントは国が公共工事で対応しているスライド条項のような物価高騰分の適切な価格転嫁を、自治体や民間の発注工事にどれだけ広げられるかだ。特に契約約款にスライド条項規定のない民間工事への普及は難しい。最終的には個別の事業者判断に委ねられるため、受注者側も丁寧に現状を説明しながら理解を求める必要がありそうだ。
 日建連は民間発注者に価格高騰や資機材不足の現状を理解してもらうため、見積書作成など契約前に使う業界共通の説明資料を近く作る。資材価格などは定期的に更新する方針だ。
 資材高騰分の価格転嫁は発注者だけでなく元下関係でも不可欠。公正取引委員会は本年度、総合工事業の受発注者関係と元下関係に着目し、労務費や資材・燃料費の転嫁拒否事例などを調べる。国土交通省も1~3月分の下請取引調査でスライド条項の設定状況や価格転嫁の協議状況を聞いた。
 全国元請団体の関係者は、「企業単体の自助努力は限界がある。官民協働で価格転嫁の好循環をつくることが不可欠」と訴える。