BIM環境の進展やメタバースへの関心の高まりを受けて、多種多様な3次元データ・素材の提供機運が顕著となっている。連載第68回(7月21日付)の「3DモデルをGLBファイルで出力可能に」で報告したメガソフト、継続追跡している「BIMobject」のBIMobject Japanを巡るデジタル素材提供の最新動向について報告する。 □「建プロダウンロード」による自社製品で援用可能な4万2766点の素材の提供-メガソフト□ メガソフトは、メタバース・VR・3DCG作成に援用できる3D素材の販売サイト「建プロダウンロード」(https://kenpro-download.jp/)を開設した。販売対象は、メガソフトの建築デザイン用3Dソフトの3D素材に加えて、それらのソフトによって作成された素材などで、建築・空間デザインはもちろんのこと、メタバースやゲーム空間、マンガの背景作成などにも援用可能となっている。 「建プロダウンロード」の利用に際しては、会員登録を行った後にダウンロード版として入手する。希望の商品は1点から購入が可能。対象商品をカートに入れてクレジットカードで決済手続きを行う。 公開素材数は合計4万2766点(サイト開設時の8月2日10時現在)。提供ファイル形式は、▽3Dモデル=GLB、3DS、DXF、M3D▽テクスチャ用画像=BMP、JPG、MTB▽添景(てんけい)素材=PNG-となっている。素材は57のカテゴリに分類して掲載されている。全素材がサムネイル付きで表示され、キーワードやファイル形式、カテゴリ名、色などで検索可能だ。提供価格は1点330円から。一部は無料素材として提供されている。 □建材・設備・家具メーカーのBIMオブジェクト流通を目的とした業務提携-BIMobject Japan□ BIMobject Japanは、日本FLOW(東京都港区)と、建設業の生産性向上の要諦として注目を集めるBIMによるフロントローディングの実現に必要不可欠な建材・設備・家具メーカーの「BIMオブジェクト」の国内流通を目的とした業務提携を開始した。日本FLOWは、2007年に台湾で創設されたトレンドマイクロ(スティーブ・チャン〈張明正〉代表取締役会長)の日本支社で19年に設立された。 国土交通省が「2023年までに小規模工事を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用」を決定するなど、BIMを取り巻く環境も急速に進展する中で、両社は今般の業務提携によるメーカーオブジェクト作成支援を通じて、オブジェクトの国内流通量増加によるユーザーの利便性向上を目指す。 業務提携の具体的な内容としては、メーカーに対してはユーザーニーズの共有やBIMオブジェクト作成サービスの提供を行い、設計者に対しては国内仕様「Revitファミリ」を集約した日本FLOW×BIMobject Japan特設ダウンロードページ(無料、https://bim-flow.jp/revitfamily/)を開設、運用する。 BIMobject Japanは、建材商社の野原ホールディングスと世界最大の建材等のデジタルコンテンツプラットフォーム「bimobject.com」を展開するBIMobjectAB(Malmo Sweden)が17年12月に設立したBIMの国内向けサービス会社である。 「BIMobject」は、建設を取り巻く多様なサイトやソリューションとも幅広く連携できるとともに、関連業務を一括管理できる高機能なデータ管理システムとしての機能も有している。メーカーにとっては自社製品をグローバルに発信する役割を果たすのに加えて、設計者にとってはメーカー監修のオブジェクトデータを無料で入手できる場となっている。 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)