インフォマティクス(※1)は、NYKシステムズ製の設備CAD「Rebro」(※2)に対応、インサートの墨出し業務に特化したMR(※3)システム「GyroEyeインサート」を発売した。ヤマト(前橋市)の監修の下で開発と実証実験を進め、9月28~30日にインテックス大阪で開催された「建設DX展(関西展)」で初公開した。 □設備CADで迅速かつ容易にインサート墨出しを実現するHoloLens2用アプリ□ インサートとは、設備機器類を天井からつり下げる際に用いる天井埋め込み用ナットのことだ。工事現場で墨出し作業によってインサートの正確な位置を落とし込むためには、実寸値が分かる詳細な図面と数度にわたる人力による計測が必要であった。 GyroEyeインサートは、設備CAD「Rebro」を援用することによって迅速かつ容易にインサート墨出しをMRで実現するマイクロソフト製「HoloLens2」用のアプリケーションである。 今般、インサートの墨出し業務におけるデータの出力、MRモデルの調整・準備から現場でのMRモデルの調整、墨出し作業の各工程のデータフロー、業務フローに至るまでを精査し、大幅にシステムを刷新、新製品としてGyroEyeインサートを開発した。 □ポイントをマークするだけでインサートポイント+通り芯や配管ルートを表示□ 従来版「GyroEye Holo」でも2次元CAD図面やBIMデータを用いて墨出し作業を行うことはできたが、墨出し作業を行う前にCADやBIMのデータをHoloLens2用に変換、現場で作業する区画に合わせてファイルサイズを調整したり、変換時間に改善の余地があったりするなど課題も散見できた。 新製品として開発されたGyroEyeインサートは、設備設計分野で高いシェアをもつ設備CAD、Rebroから専用ボタンのワンクリックでインサート墨出しに必要な通り芯、系統図、インサートポイントなどの情報をファイル出力するとともに、同じくワンクリックでMR用のデータ変換を可能にしている。 操作性も大幅に改善されており、工事現場で専用のビューワソフトを操作する際に、画面を軽くたたくように一瞬だけ画面に触れるタップ操作に加えて、見つめるだけの視線操作を採用している。 MRモデルを選択し、現実空間(工事現場)に合わせて配置・表示する際にも位置の微調整が可能なので精緻な作業が可能となっている。作業者がインサートポイントをマークするだけでインサートポイントに加えて通り芯や配管ルートを表示するのも使い勝手が良い。 (※1)インフォマティクス=1981年の設立以来、建築・設計向けのCAD/CGシステム、地理情報システム(GIS)の開発、販売、保守サポートを行うシステムインテグレータで、中央官庁、地方自治体、社会インフラ事業者、建設・土木・エンジニアリング企業など数多くの導入実績を有している。 (※2)設備CAD「Rebro」=NYKシステムズ製の3次元CADで高精度な設備の3次元モデルを作成する。BIMソフトとの親和性も高く、設計から施工、維持管理に至るまで情報をシームレスに展開し、設備業務の効率化と改善に貢献する。 (※3)MR(Mixed Reality)=現実世界と仮想現実を組み合わせる技術で複合現実と訳される。現実世界に仮想世界の情報や建築物の3次元モデルなどを取り込み、仮想世界の情報や映像をあたかもそこにあるように表現する。MR技術を援用した製品ではマイクロソフトの「HoloLens」シリーズが代表格として知られている。 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)