デジタルで建設をDXする・79/樋口一希/3Dデータ使い精度の高い施工計画作成

2022年10月13日 ニュース

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 EARTHBRAIN(東京都港区)は、デジタルツインとAI技術を援用して、施工土量から最適な機械の稼働率や施工日数を算出するなど建設現場の安全性・生産性を高め、高精度な施工計画・管理を短時間で実現する「Smart Construction Simulation」の提供を開始した。

 □クラウドに登録した3次元の設計・地形データを用いて精度の高い施工計画を短時間で実現□
 Smart Construction Simulationは、クラウド内に3次元の設計データと地形データを登録、工期や建設機械の編成などの施工条件を入力することによって最適な土配計画や施工手順、建設機械の稼働率を算出し、建設現場のデジタルツイン環境上で精度の高い施工計画の作成を短時間で可能にする。
 現況の建設現場では、2次元図面をベースに人力による手作業によって土の運搬量や運搬ルートなどの計画を立案している。そのため施工計画の立案にかかる時間が増大するとともに、初期の施工計画だけでなく、工事中の施工管理や計画見直しにも作業時間を要するなど、現場監督の経験値やスキルに大きく依存することになる。
 Smart Construction Simulationの導入によって熟練者にはより迅速かつ容易に、経験の浅い技術者には精度の高い施工計画の立案を可能とし、施工現場におけるPDCA(※)サイクルの最適化を実現している。

 □建設機械・ダンプなどの能力値から稼働率をバーチャートで視覚的に確認することも可能□
 デジタルツインとAI技術を援用して3次元データ上で施工計画のシミュレーションを行う。施工前の建設現場の3次元地形測量データと3次元設計データ、施工期間などの条件を入力することによって自動的に最適な土配計画を算出し、アニメーションで表示するなど優れた見える化機能を有している。加えて建設機械、ダンプなどの能力値や一方通行などの条件値から運土量や稼働率をバーチャートで視覚的に確認することもできる。
 建設現場の進捗(しんちょく)状況を入力することによって計画見直しも容易に実行できるとともに、建設現場の状況をデジタル化し、デジタル空間上でのシミュレーション結果に基づいて建設現場の作業を最適化できる。
 具体的には、施工途中の地形における勾配も考慮した上で、ダンプの最短ルートを自動で算出し、最適な仮設計画の検討も可能だ。片側通行区間など、建設現場での制約条件を考慮した上で建設機械とダンプの稼働率の算出もできるので、工事途中でダンプの適正な台数を調整する必要がなくなり、最初から最適な機械編成を計画できる。

 □インターネット接続可能なPC+Webブラウザーという標準的な環境下で稼働□
 利用方法、条件としては、Smart Construction DX Gateway(https://gateway.smartconstruction.com/)でライセンスを購入の上、インターネット接続可能なPCを用意し、WebブラウザーはGoogle Chromeで稼働する。対応している3次元地形測量データは、LASer(.las .Laz)、CSV(.txt .csv)、3次元設計データは、DXF(.dxf)、LandXML(.xml)、Trimble(.ttm .svd .dsz)、Topcon(.tp3 .tn3)となっている。
 ソフトウエア利用料は、1ユーザー当たり直営販売価格で月額18万円。2023年3月31日までは現場数に限らず、ソフトウエア利用料が無料となるキャンペーンを実施中だ。
 施工実績の自動取得には別途、「Smart Construction Fleet」が必要だ。Smart Construction Fleetは、建設機械やダンプなど車両の位置情報や稼働状況をリアルタイムでモニタリングし、見える化することによって課題分析を可能とするサービスだ。
 (※)PDCA=Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字。1950年代に品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミングが提唱した。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)