コンピュータシステム研究所(東京都新宿区)と総合建設業8社(青木あすなろ建設、淺沼組、共立建設、佐藤工業、大末建設、高松建設、飛島建設、りんかい日産建設)は、若年社員向けに、BIMモデルを活用したバーチャル建設現場内で施工管理のノウハウを学習する「現場トレーナー」を開発し、サービス提供を開始する。
□BIMモデル活用の体験型施工管理教育システムで若い社員が短期間で数多くの現場を体験□
「現場トレーナー」は、BIMモデルを活用したバーチャル技術を用いて、短期間で数多くの現場を経験させることによって、テキストや動画では不十分な現場における気づく力を習得させるために開発された教育システムだ。故意に問題点を組み込んだバーチャル建設現場で施工管理を体験させることにより、多様な現場で起こり得る事故や不具合に対して未然に気づく経験を与えることを目的としている。
バーチャル現場内で発生する各種の問題点や注意点などのイベントを発見し解決しながら学習していくステージと、ドリルのように連続してテキストや画像問題が出題されるステージが用意されており、それぞれの解答に対してその状況で取るべき対応についての解説や資料が提示される。これによって、どのような状況の場合に安全や品質の問題に発展するのか、ある状況に対してはどのように行動すべきかなど、リアルな現場である程度の経験を積まないと取得できない知識や経験を養う。
教育担当者による受講者の学習進捗(しんちょく)状況のチェック、進捗が遅れている受講者に実施を促すメール送信、ユーザーや受講するコンテンツ登録を行う機能などのユーザー管理機能も備えている。
□施工中の現場教育では短期間となり日程など各種調整が必要となるなどの課題を解決□
若手社員への現場教育では、テキストや動画を利用した知識教育だけでは現場での気づく力を十分に学ぶことが難しい側面がある。施工中の現場を利用した現場教育では、短期間の現場訪問となることもあり、訪問日程をはじめとした各種調整が必要となるなど、教育環境の整備にも労力を割く必要がある。そのような背景から、バーチャル建設現場を利用することで現場学習がどのように可能なのかの検討を通じて「現場トレーナー」の開発に着手した。
2017年に淺沼組でプロトタイプの開発を開始。その後、8社によるプロトタイプ・バージョン2の開発と実証実験を経て、昨年4月からコンピュータシステム研究所を含めた9社による本格的なシステム開発が行われた。5月からパソコン版とiPad版を順次リリースする予定となっている。
□コンピュータシステム研究所内に事務局を設置しサブスク契約でWindows版とiOS版を提供□
サービス形態については、開発したゼネコン8社以外にもサブスクリプション(定額支払い制度)契約によって提供することとし、毎年度のアップデートや新しい現場コンテンツの追加に加え、顧客向けの特別な教育コンテンツの開発や提供なども行う。サブスクリプションサービスの提供とサポートの窓口は、コンピュータシステム研究所内の事務局に設置する。
【システムの動作環境】
〈Windows版〉
▽Windows10、Windows11▽CPU=Intel Core i5同等以上▽メモリ=16GB搭載(推奨)▽グラフィックス=オンボードグラフィックス以上
〈iOS版〉
▽iOS15、iOS16▽機種=iPad Air第4/5世代、iPad第10世代、iPad mini第6世代
〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)