大阪府/医療型短期入所施設の供給不足に対応、7月の制度改正めざす

2025年5月29日 行政・団体 [10面]

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 大阪府は重度障害児者らを対象とする「医療型短期入所施設」の供給不足に対応するため、施設開設を促す制度改正に乗り出した。府域が病床過剰地域に指定され、新たな病床の設置が原則認められない中、例外的に設置可能な「特例有床診療所」制度の対象に医療型短期入所施設を加えることで、開設促進につなげる。7月ごろの改正を目指す。
 20日に開いた「第52回大阪府医療審議会病院新増設部会」で府の設置基準改正案と医療型短期入所事業整備基本方針案を提示し、有識者の了承を得た。
 改正案では分娩(ぶんべん)や小児医療など特定の医療ニーズに限って病床の新設を認めている特例有床診療所制度の現行基準に医療型短期入所施設を新たに追加する。実際の運用に当たっては府が策定した整備基本方針案について、府域の自治体から了承を得る必要がある。それを経て事業者が本格的に参入できる仕組み。
 現在、府域は既存病床数が基準病床数を上回り、医療法上、病床過剰地域とされる。このため原則、新たな病床を設けることができない。医療型短期入所に必要な病床も例外ではなく、現状では既存病院の空床や稼働率の低い病床を活用する形でしか対応できず、ニーズに追い付いていないのが実情だ。
 府が2024年度に実施したアンケートでは必要とされる病床数が160床であるのに対し、実績は80床にとどまり、80床分の供給不足が明らかとなった。
 今回の制度改正では、新たな病床設置を可能としつつ、市町村と連携して既存病床を拡大する取り組みも強化し、医療的ケアを必要とする障害児者とその家族の支援充実につなげる。