千葉県内の建設現場で作業所長を務めている。「まだ現場にいたい」という思いは強く、大切にしているのは「半径5メートル以内の幸せ」。共に働く人たちが気持ち良く一日を終えられるよう、自分の周囲にさりげなく気を配るようにしている。
入社して数年が過ぎた時、念願だった建設現場に配属された。慌ただしく過ぎていく時間。自分の思いとは裏腹に「自分は何もできていないのでは」と感じるようになった。「もう辞めるしかないかも…」。積もっていく自責の念に唇をかみしめた日もあった。
悪戦苦闘しながらもさまざまな経験を積んでできることが少しずつ増えていった。あれから十数年、今は若手の指導役も任されるようになった。休憩時間に若手と一緒に昼食をとりながら趣味や休日の話をする。世代の違いを感じながらも気軽に話せる雰囲気づくりを意識している。
働き方は大きく変わった。長時間労働が当たり前だった時代も今は昔。「夢だった」ジムにも通い始めた。一方で「頑張りどきがあると思う」とも話す。若いうちだからこそ吸収できることがある。成長のチャンスを逃すのはもったいないと思うこともある。
現場が変われば関わる人もやり方も違ってくる。その度に向き合い方を探ってきた。建設技術者は「一生かかってもやりきれない」終わりのない職業で、好奇心と探究心は尽きない。これからも自分にできることを丁寧に続けていく。
(たかはし・ひろこ)東亜建設工業千葉支店千葉中央工事事務所蘇我事務所養老川作業所作業所長