座右の銘は、世阿弥が唱えた芸事の心構えである「初心忘るべからず」。現場ごとに異なる課題に挑む建設業にも通じるとして「慢心せず、しかし臆せず、前に進みたい」と意気込む。土木現場を振り出しに、営業や支店・本部運営で積んだ豊富な経験を生かし、会社のかじ取りを担う。
--就任の抱負を。
「『技術力と高い収益性を併せ持つ、特色あるゼネコン』の確立を目指す。森下覚恵前社長が整えた制度や技術、人材の基盤を引き継ぎ、『戦える会社』へと変える。単なる請負ではなく、社会課題を解決する建設サービス業の担い手へと進化させたい。麻生グループや日特建設、若築建設とも協力していく」
「2026年3月期の連結業績は売上高、利益ともに前期を上回る見込みだ。特に建築が回復している。右肩上がりの基調を維持したい。好業績は時代の追い風も大きい。人口減少に伴う需要縮小や本格的な担い手不足を見据え、追い風が吹く間に真の実力を身に付けなければならない」
--事業戦略は。
「勝てる領域を深く耕し、収益の質を重視した経営を徹底する。大手ゼネコンが参入しにくい特殊・難工事でニッチトップ戦略を貫く。土木ではケーソンやシールド、プレキャスト(PCa)などの得意分野に経営資源を集中させる。建築では施工体制の確立を最優先とし、受注前のリスク評価を厳格化する」
「最も力を入れるのは下水道のリニューアルだ。国内の下水道のうち、35%が40年度に築50年を超える。次の柱と位置付け、技術陣がスピード感をもって研究開発を進めている。PPPやO&M(運用管理・保守点検)の領域は、水道と道路でコンソーシアム形成を強化し、着実に基盤を築く。ウオーターPPPは、静岡県の『ふじさん工業用水道事業』で経験を積む」
--技術開発の方針は。
「2、3年以内に管路の調査・診断や更生を一貫して担える体制を整えたい。M&A(企業買収・合併)は能力の補完に的を絞り、競争力のある技術の獲得を目指す。DXは供給力を補うために進める。まずは得意工法を中心に、自動化や遠隔化によって生産性が高まる最適な箇所を探りたい。環境対策も重要な経営課題であり二酸化炭素(CO2)削減技術の開発を続ける」
--人材確保の対応を。
「働き方改革や賃上げなどで、若手が生き生きと働ける会社を目指す。今春にはベトナム出身者を1人採用するなど、新卒・中途ともに多様な人材を積極採用している。SNS広告の展開に加え、今後は外国籍社員の母校に直接求人も検討している。研修では、ベテラン社員が工種ごとに若手技術者を育てていく」。
(4月1日就任)
(ますだ・ひろし)1981年鹿児島大学工学部卒、大豊建設入社。2019年執行役員東北支店副支店長、21年常務執行役員大阪支店長、22年6月取締役兼常務執行役員土木本部長兼海外部門担当兼技術研究所担当を経て4月から現職。空手歴は半世紀を超える。キックボクシングにも励み無心で戦い心身を整える。鹿児島県出身、67歳。





