回転窓/老舗のおごり

2026年2月25日 論説・コラム [1面]

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 記念日などに少しだけ奮発してフレンチやすし屋へ足を運ぶ方も多かろう。小欄は銀座にあるなじみの天ぷら屋へ行くのがささやかな楽しみ。旬の味覚に舌鼓を打ち、英気を養っている▼その天ぷら屋は主人自らテーブルに出向いて料理の説明をする。世間話を交えたわずか数分のやりとりだが、心穏やかな気持ちで食事を楽しめる。味はもちろんだが、店員さんの丁寧な接客態度が気に入っている▼老舗の中には、なぜ繁盛しているのか疑問に感じる店も少なくない。先日、東京都内で古くから商売を営んでいる喫茶店に足を運んだ。レトロな雰囲気の店内は、国内外から多くの観光客でにぎわっていることもあり、待合時の接客などがお世辞にも丁寧とはいえなかった▼混雑している中でも客の気分を損ねない店は、2度3度と通いたくなる。ほんの少しの心配りがリピーターを獲得できるかどうかの明暗を分けるのかもしれない▼長い歴史で育まれてきた技術や味はもちろん、店の雰囲気にこそ、対価を払う価値がある。過度なプライドは、ともするとおごりにも変わる。また訪ねたくなる素晴らしい店を見つける嗅覚を養いたい。

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