日本アルプスなど3000メートル級の山々を頂く各地の山小屋で、今シーズンの営業に向けた準備が始まった。富山県のある山荘では、現地入りした従業員が晴天のたびに次々と布団を屋根に干していると聞いた▼長野県と岐阜県にまたがる標高3067メートルの御嶽山。9合目の山荘は7月からの再開を決め、5月から宿泊予約を受け付けるそうだ。その山荘だけでなく、近くの山小屋や麓の温泉宿も、今夏は宿泊予約への期待が一段と大きいと聞いた▼地域一帯が10日付で、58番目の国定公園に指定されたためだ。山頂の荒々しく独特な景観や、そこに至るまでの豊かな自然、今も息づく登山信仰の文化などが評価され、保護に取り組む地元の熱意も伝わった▼御嶽山は富士山に次ぐ国内で2番目に高い火山。9合目の山荘付近には、2014年9月に起きた悲惨な噴火災害の爪痕が残っている▼災害の教訓や備えを取材した時、山荘の主人が「この山と生きていくしかないんだよ」と話してくれた。地元は地域の活性化につながるとして公園指定に沸いているが、その背景には、火山と共生する覚悟と複雑な思いがあると心に留めたい。






