回転窓/身だしなみの境界線

2026年2月26日 論説・コラム [1面]

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 幼いころ、美容師のはとこが化粧をしてくれたことがあった。頬にチークを置いて、唇に鮮やかな紅を差してくれた▼母やはとこをまねただけであって、祖母らが好意を示してくれた。気にしていなかったが、女性も男性も化粧をされたくない人はいるのだから、今の時代なら配慮は必要だろう▼ある企業の講演を終えた知人の女性が「変な味がして気持ち悪いから口紅はすぐに落とした」と悲しい表情で話していた。会場に指示通り早めに着くと、係の女性がファンデーションや口紅でメークをしてくれたそう▼身だしなみのチェックを兼ねた、その企業なりの善意だと感じて、拒まずに受け入れた。その女性は普段、素顔に近いナチュラルメークと、自然由来の化粧品にこだわっている。係の女性に控室はなく、用意はパイプ椅子だけ。大切な仕事道具が床置きにされた姿をふびんに思ったという▼社名は教えてくれなかったし、どういう意図で化粧をさせたかは分からないが、女性に複雑な思いを抱かせたことは間違いのない事実。建設会社ではないと信じたい。「だから女性の活躍が進まないのよ」と指摘されてしまうから。

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