広島市/広島大本部跡「知の拠点」/完成を34年度に先送り、工事費は約129億円に

2026年2月27日 工事・計画 [12面]

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 広島市は25日、広島大学本部跡地(中区)に計画する「平和に関する『知の拠点』」の完成時期が当初計画から5年遅れの2034年度にずれ込む見通しを明らかにした。被爆建物「旧理学部1号館」の一部を保存し、背後に増築する研究機能などと一体的に整備する。工事費は倍以上の約129億3000万円に増える。同日開かれた市議会総務委員会で基本設計について報告した。26年度は実施設計に入り、27年度に発注準備を行う。
 旧理学部1号館(RC造3階建て延べ約8500平方メートル)は、築95年が経過し、建物の耐震性やコンクリートの劣化などが課題になっている。
 計画では、玄関ホールを含む正面棟を保存し、残りを解体して3階建ての施設と一体的に増築。平和に関する研究や教育、情報発信、まちづくり活動などの機能を備える。基本計画時の工事費は約63億円と試算していた。
 基本設計では増築部分を合わせた床面積を約6000平方メートルと想定。保存部分は被爆の痕跡を残しながら現在の姿に近い形で残すことを前提に、バリアフリー対応や、劣化が進んでいるタイルや躯体の補修などを行う。増築部分は保存部分とは別の時代であることが区別できる意匠を採用する。
 当初計画では29年度に完成し、30年度の供用開始を予定していたが、劣化状況調査などで躯体の損傷が広範囲で著しく進んでいることや、床や梁、基礎の強度が不足していることが明らかになり、さらなる安全対策が必要になった。
 工事スケジュールは解体工事の期間が延び、液状化対策が加わったことで保存改修工事の着手が31年度にずれ込む。改修工事の期間も1年以上延び、全体では5年間の工事期間延長の見通しとなった。解体は28年度に始める。
 工事費は保存改修が約64億6000万円、増築が約37億8000万円、解体が約5億7000万円、液状化対策が約6億1000万円、土壌汚染対策が約7億6000万円など。基本計画から約66億3000万円の増額となる。
 基本・実施設計は山下設計が担当する。