国交省、東京都/災害に強い首都形成ビジョン改定案/複合災害への対応追加

2026年3月4日 行政・団体 [4面]

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 国土交通省と東京都でつくる連絡会議は3日、「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」の改定案を公表した。能登半島地震など最近の災害の教訓を踏まえ、2020年12月策定の現行ビジョンを大幅に見直す。従来の水害と地震に加え、複合災害への対応を追加。流域治水、無電柱化、上下水道の機能確保、事前復興、DXなど新たな視点も盛り込む。高台まちづくりモデル地区には新たに7カ所を加える。
 同日、東京・霞が関の国交省で開いた連絡会議の第6回会合に新たなビジョン案を示した=写真。能登半島地震と続けて発生した豪雨災害の教訓から、従来のビジョンで示していた水害・地震対策に加え、両者が連続して発生する複合災害への対策も盛り込んだ。水害・地震対策でも取り組みの進捗や最近の災害の教訓を踏まえ、新たな施策を追加した。
 水害対策としては、流域治水や気候変動対策、大規模地下街の避難対策などの観点を加えた。今後、神田川などで気候変動を踏まえた治水計画の見直しに取り組むほか、下水道施設の強化にも注力する。ゼロメートル地帯での高台まちづくりを巡っては、これまでのモデル8地区に加え、新たに個別新規事業5カ所と新規計画策定2カ所をモデル地区に指定する。
 個別事業としては▽北区王子地区▽足立区小台地区▽墨田区本所地区▽江東区西大島地区▽大田区矢口地区-の5カ所を追加。大規模再開発や公共施設の建て替えなどに合わせ高台の確保や避難ルートを整備する。江東区と大田区はそれぞれ「江東区浸水対応型まちづくりビジョン」と「大田区高台まちづくり基本方針」を策定しており、これらに基づき区内全域をモデル地区として民間を含めた高台まちづくりを誘導する。
 地震対策では近年、相次ぐ木造密集市街地(木密)での火災対策を充実させる。無電柱化や緊急輸送道路の早期交通確保、上下水道インフラの確保、マンション防災なども盛り込んだ。木密対策は防火規制強化と老朽建物除却費助成の充実に取り組む。空き家除却などの市町村支援も充実させ、不燃化を後押しする。
 無電柱化は都の次期無電柱化計画に沿って、重点エリアの拡大やDX、同時施工を活用した効率化に力を入れる。連絡会議では「スピードアップのためにはコスト縮減も必要だ」との指摘もあった。民間事業者への周知や財政的、技術的な支援も拡充させる。
 複合災害への対策としては適切な避難行動が取れるような情報発信、DXなどを活用した被災状況の早期把握と復旧復興の迅速化、事前復興の取り組み推進などを挙げた。
 連絡会の座長を務める国交省の廣瀬昌由技監は「(能登半島地震の)教訓をしっかり受け止め、首都機能を守るための取り組みの充実と加速化が必要だ。連絡会議で関係者が集まり顔の見える関係をつくり、対策を進めていく必要がある」と強調した。