回転窓/緊急事態宣言の中で入学した子どもたちへ

2026年3月19日 論説・コラム [1面]

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 定年退職される小学校の先生が、子どもたちに話をする場に立ち会えた。分厚い辞書を数冊抱え、スマートフォンを手に話し始めた▼「先生が苦労して見つけてきた答えを、小さな電話がすぐに教えてくれます。便利だけれど、その答えが正しいのか、自分で考えないといけません。学びを続けてください」と。たくさんの情報を苦もなく入手できるようになった世界を生きる上で、大切なことを伝えていただいた気がした▼近所の小学校は昨日が卒業式。6年生が入学したのは、新型コロナウイルスの流行に伴う史上初の緊急事態宣言が発令された2020年。延期されて6月になった入学式では、名前を呼ばれてもマスクを着けたまま、返事をしなければならなかった▼中学校の制服や正装で卒業式に臨んだ子どもたち。仲間とはしゃいだり、担任の先生の涙にもらい泣きしたりと、記憶に残る日を素顔で過ごせた▼子どもたちは、便利なAIがさらに身近になる時代と向き合う。将来、別の感染症が流行するかもしれず、発生が懸念される巨大な災害もある。知識と知恵を養い、自分を大事に、勇気を持って歩みを進めてほしい。