寿建設創業60周年/森崎英五朗社長に聞く/喜ばせる技術に磨き 

2026年4月3日 企業・経営 [10面]

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 寿建設(福島市、森崎英五朗社長)が3月17日、創業60周年を迎えた。高度経済成長を支える道路インフラ整備の中で、トンネル工事の専門企業として全国で多くの実績を重ねてきた。「トンネル屋だからこそできることがある」との信念の下、技術に磨きをかけ、地場ゼネコンとしての基盤を築いてきた。創業者・森崎鼎が「長生きできる会社に」との思いを込めて名付けた「寿」。その意思を受け継ぎ、「喜ばせる技術、選ばれる企業」へと一歩一歩、道を切り開いている。

 --創業60年の節目を迎えた。
 「創業者である祖父の森崎鼎は、大成建設の専門工事業者として全国の工事に参画し、『トンネル屋』としての基礎を固めた。福島と山形をつなぐ東栗子トンネルの建設工事に携わったことをきっかけに福島市に拠点を置き、1966年に会社を設立した。バトンを受けた父・俊紘が官公庁の土木工事へと事業を広げ、全国を飛び回るトンネル屋でありながら、地場ゼネコンとしての地位を築いてきた」
 --トンネル専門会社として大事にしてきたことは。
 「誠実施工をモットーに、覚悟を持ってチャレンジしてきた。私が社長に就任(2006年6月)して2年後、落石事故が続き、正直、会社を閉じるべきかと悩んだ時期もあった。その経験から安全に真剣に向き合い、事故分析を基に独自の安全管理手法を構築した。安全ルールを明確化することで、その後7年半、休業災害ゼロを続けることができた」
 --インフラメンテナンスの課題解決に挑戦している。
 「公共工事の削減で価格競争が激化した01年以降、『トンネル屋だからこそできるトンネル補修工事』という視点でリニューアル工事に取り組んできた。新技術の開発を進めながら、当社が持つスキルでさまざまな課題解決につなげたいとの思いで、発注者に提案してきた。3Dスキャンアプリ『Scanat』を活用し、メンテナンス対応の効率化にも取り組んでいる」
 --土木の魅力向上へ広報プロジェクトも展開している。
 「考えを固定しないため、人との出会いを大事にしてきた。写真家の山崎エリナさんやイラストレーターの武者小路晶子さんとの交流が、さまざまなアイデアにも結びついている。人を動かすのは人だ。『人を喜ばせるのが商売の基本』と、経営者としてのヒントを教えてもらったことがある。その発想は建設会社でも同じだ。60周年企画では、社内の広報チームによる提案で新プロジェクトも展開中だ」
 --今後の経営戦略を。
 「綿密な戦略を立てることよりも、社員にビジョンとツールを提供することが私のスタイルだ。『トンネル専門工事』『地元ゼネコン』『トンネル補修』という三つの技術を武器に、常に『喜ばせる』という意識を基本に事業を展開していく。寿ブランドとしてさらにバージョンアップし、攻めの営業を目指したい」。