◇建物供用中に杭基礎周辺耐震補強
ケミカルグラウトは、地盤改良による既設建物の杭基礎耐震補強技術を確立した。自社開発の超小型施工機を活用し、建物を供用しながら屋内から直下に広がる杭基礎周辺の地盤改良を施す。全面的な建て替えによる補強と比べコストを大幅に抑えられ、日常の生活や業務などにもほとんど影響しない。防災拠点やBCP(業務継続計画)の観点から学校や病院、工場などを想定し、建設会社や建築設計事務所などに提案していく。
任意の深さで大口径の地盤改良が可能な高圧噴射撹拌工法を既設建物の杭周囲で展開し、杭基礎を耐震補強する技術になる。国土交通省の革新的社会資本整備研究開発推進事業(BRAIN)に採択された「高圧噴射撹拌工法による既存杭補強工法」として5年間かけて開発。実大実験や3DFEM(影響)解析で杭基礎の補強効果を確認し、このほど建築研究所から研究開発達成との評価を得た。
自由度の高い高圧噴射撹拌工法によって杭基礎の耐震補強を実現する。自社開発した高圧噴射撹拌工法対応の超小型施工機(長さ0・8メートル、幅0・5メートル、高さ1・8メートル、本体重量360キロ)を用いることで、屋内からでも施工可能。1階の入居者や利用者に限り一時的な退去が必要になるものの、2階以上は供用したたま耐震補強できる。従来の施工機に比べ長さ1・7メートル、幅0・7メートル、高さ0・6メートル縮小し、重量も10分の1程度になる。
杭基礎の耐震補強効果は、土槽での模型実験や試験ヤードに打設した杭を用いた実大実験で確認。3DFEM解析による再現解析も実施した。
従来の建て替えに比べコストメリットも大きい。同社が試算したところ、RC造の集合住宅を対象にした場合、杭補強工法の費用は3分の1~5分の1程度に低減可能と見る。
今後、南海トラフ地震や首都直下地震などの災害に備え、緊急輸送道路沿いにある建築物や防災拠点となる学校・病院、工場などの基礎補強ニーズなどを掘り起こし、新たな収益源として育てていく。当面は年数件程度の採用を目指す。将来的には同数十件程度の需要が創出されると見込んでいる。
同社の担当者は、「高圧噴射撹拌工法で建物を供用しながら杭基礎周辺の耐震補強が実現できるという認知度を上げないといけない」とし、BRAINによる技術開発の成果を親会社の鹿島以外も含めたゼネコンや建築設計事務所などに説明していく。その上で「興味を持っていただけた会社と連携し、実績を積み上げながら信頼度を高めたい。ゆくゆくは有効な工法として認知され、行政が補助金などで支援するような形で展開されていけばいい」と展望している。





