台風25号で堤防が決壊した千葉県の印旛沼周辺では、甚大な浸水被害が発生した。懸命に応急復旧工事が進められている中、先週、今度は台風26号が接近。再び大雨による被害の拡大が懸念された▼1990年代、三浦裕二日本大学理工学部教授(当時)らが「房総・水の回廊構想」を発表した。東京湾岸の幕張から花見川、印旛沼を経て利根川を下り、太平洋の銚子、鹿島に至る延長約120キロを水の道で結ぶという壮大な構想だ。水運文化の再興と水環境の改善、周辺地域の活性化を一体的に進めるのが目的だった▼96年発刊の『運河再興の計画 房総・水の回廊構想』(三浦裕二・高橋裕・伊澤岬編著、彰国社)を読み返すと、印旛沼の貯水量を浚渫で約4倍に増やすことなども提唱。現代にも多くの示唆を与えている▼今回の台風被害を受け、この構想に改めて注目したい。水の回廊を環境にやさしい船が行き交う道としてだけでなく、暮らしの安全と環境を守る流域ネットワークとして発展させていく意義は大きいだろう▼自然災害に備えつつ、未来に何をつなぐのか。30年前の構想が新しい意味を持ち始めるかもしれない。









