国土交通省の有識者会議「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」は13日の会合で「人を大事にする」産業の実現方策を議論し、さらなる処遇改善や働き方改革、人材育成の強化などで幅広く意見が交わされた=写真。人を支えるのに欠かせないツールとして、DXやAIの徹底的な活用を訴える声もあった。次回以降のテーマとなる真に「経営力」のある産業、「未来に続く」産業の議論に各委員の意見を引き継ぎながら、打ち出すべき施策の大枠を固めていく方向だ。
古屋星斗リクルートワークス研究所主任研究員は、中小・零細企業が多い建設業では人材育成の共同化が有効と指摘。地域の建設業界が主体的に学校教育に投資し、将来の担い手の裾野を広げるアイデアも披露した。浜田紗織ワーク・ライフバランス取締役は、組織の内外に存在する「潜在労働力」を引き出す経営ノウハウの展開を提案。時間や家庭の事情で制約のある人材を切り捨てないマネジメント事例を示し、「人が無理をして仕事に合わせる産業ではなく、人の力が発揮されるよう仕事をつくり変えられる産業」への転換を訴えた。
福地宏之一橋大学大学院経営管理研究科准教授は、個社として規模の拡大を追求し、教育や採用などの機能を集約する方法も有効な一手だと指摘。ロールアップ型のM&A(企業合併・買収)で経営能力に優れた会社を軸にグループ化するなどし、「人を大事にする企業が成長できる競争環境の創出を考えていく必要がある」と主張した。
建設業界側からは、月給制への転換の重要性を指摘する声が相次いだ。勝見剛日本建設業連合会(日建連)総合企画委員会政策部会部会長は「施工時期の平準化や支払い条件の改善に向けた民間発注者への指導と、月給制を導入する企業への支援・評価の仕組みが必要だ」と話した。錢高久善全国建設業協会(全建)副会長は仕事量の繁閑差を課題に挙げ、既存制度の建設業務労働者就業機会確保事業について「使い勝手が悪い。柔軟に活用できる制度を考えてもらいたい」と要望した。
全邦釘東京大学大学院工学系研究科特任教授は「安全や処遇、働き方の改善はAIなしで実現しない。人を減らす技術ではなく、人を守る技術としてAIを捉えるべきだ」と問題提起した。丸山優子山下PMC社長は日本の優れた品質管理のノウハウをフィジカルAIに取り込むことを提案。「人が誇りを持ち、人にしかできない仕事をする。そのことが他産業に比べて高い魅力、やりがい、処遇をもたらす」と訴えた。







