「地球は丸い」。誰もが当然のように思っているだろう。ところが、その地球を平面に描くと、どうしても「ゆがみ」が生まれてしまう▼9月4日の国連総会で、各国の実際の面積をより正確に反映する世界地図の利用を促す決議が採択された。背景にあるのは、長く使われてきたメルカトル図法への問題意識だ。赤道から離れるほど陸地が大きく描かれ、欧州や北米は実際より大きく見える。アフリカはグリーンランドと同程度に描かれるが、実際の面積は約14倍もある▼球体を平面にすれば、何かが犠牲になる。形を正しく描けば面積がゆがみ、面積を正しく描けば形が変わる。何を優先するかによって、同じ世界の見え方も変わってくる▼私たちもまた、目に映るものをそのまま見ているとは限らない。自分に都合のいい事実はより大きく、都合の悪い事実はより小さく扱う。目の前の一部分だけを見て、全体を理解したつもりになることもある▼地図が世界のすべてを正確には映せないように、私たちの認識にも限界がある。いま目に映っている世界は、果たして本当の姿なのか。それとも、自分に都合よく描いた世界なのか。







