応用地質/冠水検知・通知センサーが効果発揮/千葉豪雨被災自治体でも安定稼働

2026年10月21日 技術・商品 [3面]

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 応用地質が開発した冠水監視センサーの「冠すいっち」が、道路や河川の危機管理で導入効果を発揮している。河川水位の上昇や下降を遠隔で常時監視し、道路アンダーパスの早期規制判断などを支援する。8月中旬に千葉県で発生した豪雨災害では、市川市内に設置されたセンサーが正常に稼働した。アンダーパスで自動車が水没した事故も相次いだ中、迅速に危険情報を発信し、ソフト面から防災・減災に貢献する。
 冠すいっちは、水位を監視する多点設置型IoTセンサー。ため池や河川、排水溝などに設置できる。
 通信部とセンサーをケーブルで接続する構造で、通信部1台にセンサーを3台まで接続できる。センサーに取り付けた浮きが事前に設定した水位を超えると、通信部からLTE回線に接続し、自治体などの管理者にメールで通知する。浮きは増水、越水ラインなど、複数位置に設置可能で、用途に合わせて調整できる。
 少ない電力で長距離通信ができる無線通信技術も採用。電源工事が不要な大容量のバッテリーを搭載し、最大で5年稼働する。コストも従来の水位計に比べ安価に抑える。
 同社計測システム事業部サービス開発部の中野大介部長は「インフラ管理者は、冠水が起きやすい場所は把握していることが多い。ただハードの整備には時間も費用も掛かる」と開発の経緯を説明する。
 同社はセンサーを活用した水害被害の防止・軽減に向け、2020年から順次冠すいっちなどの提供を開始。今月初旬時点で約200台が稼働している。
 8月の豪雨で大規模な冠水が発生した市川市。21年から13カ所の道路脇にセンサーを設置し、冠水の恐れがある地点の監視を実施している。
 同市道路交通部道路安全課の担当者は「水が引いた際の交通規制解除の目安にもなる」と導入効果を語った。さらに「これまでは現場に行かないと、浸水の度合いが分からなかった。センサーがあると、客観的数値でおおよその状況をつかめる。限られた数の職員が優先して向かうべき場所の検討ができる」と話す。
 センサーの設置で「これまで正確にデータを取ることが難しかった浸水継続時間を記録できる」(中野部長)。履歴はウェブ上で稼働するシステムで管理し、蓄積する。「雨量に対する排水能力の限界値を読み取ることも可能だ。ハード整備の検討にも役立つ」(同)と見る。同社が展開する他のセンサーとも組み合わせ、被災後の施策検討の参考にしてもらう考えだ。
 同社は今後、各地での実績を生かし、浸水想定図作成などのコンサルティング業務と、センサーの導入・設置支援をワンストップで提案していく。