BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・111/樋口一希/BIMと連動する積算システム・2  [2016年4月28日]

 主に実施設計段階での精(積)算を行う建築数量積算・見積書作成システム「NCS/HELIOS(ヘリオス)」(日積サーベイ製)とBIMとのデジタル連携の「実際」を検証する。


 □意匠・構造・施工で運用されるBIMの用途に対応して「NCS/HELIOS」との連携を実現□


 「NCS/HELIOS」では、積算に必要な建物情報の入力のために『配置入力』『イメージ入力』『表入力』をサポートしている。

 『配置入力』との関連、高い親和性において意匠BIMとともに、構造BIM、施工BIMとのデジタル連携を実現している。

 ◇意匠BIM:ArchiCAD(グラフィソフトジャパン製)・GLOOBE(福井コンピュータアーキテクト製)では、中間ファイルIFCで連携。Revit(オートデスク製)では、アドイン機能として「NCS/HELIOS」のローカルファイル(TSVファイル)によるダイレクト連携を15年12月から可能としている。

 ◇構造BIM:中間ファイルST-Bridgeでの連携。

 ◇施工BIM:J-BIM施工図CAD(福井コンピュータアーキテクト製)では中間ファイルIFCで連携。

 『表入力』については、仕上げ表・単価マスターではExcelファイルでの入(出)力、明細書ではExcelファイル+CSV+BCSでの入力が可能だ。


 □デジタル標準となったExcelファイルとともに関連諸団体が提唱するファイル形式もサポート□


 「NCS/HELIOS」からのデータ出力については、内訳明細書ではExcelファイル+BCS+RIBCでの書き出しが可能。竣工後の施設管理に援用するFM関連のシステムなどとの中間ファイルIFC連携については現在、対応計画の立案を進めている。

 BCSは、日本建設業連合会(旧建築業協会=Building Contractors Society)が提唱している中間ファイル形式でBCS.CSVとも標記される。「NCS/HELIOS」をはじめとする他の市販ソフト付属の出力機能で簡単に変換可能だ。

 RIBCは、建築コスト管理システム研究所(Research Institute on Building Cost)が提唱している営繕積算システムで、複合単価作成や内訳書数量入力時などに使用。各種積算システムなどで業界標準のファイル形式として採用されている。


 □BIMによる建物情報の入力が次工程の積算へと連携しているとの設計者の意識変革が必須□


 「NCS/HELIOS」の導入割合が総合建設業65%、積算事務所30%、設計事務所5%であることからも、主要ユーザーが積算技術(担当)者なのが傍証できる。設計者がBIMソフトを用いて入力(設計)した建物情報を正確かつ迅速に「NCS/HELIOS」へと連携し、積算工程(積算技術者)を支援するためには、ここでも「業としての建築」固有の課題を克服しなければならない。

 工程上流の建物の企画・計画段階では、積算情報は意識されることも少なく、不十分だし、基本設計でも設計者は、絵は描くにしろ、積算に必要な情報を『全て』は描かない。実施設計へと進捗するに従い、情報はようやく『ほぼ』網羅される。このような既存の業務プロセスの中に、BIM+「NCS/HELIOS」連携を事前準備もなく、無自覚に導入しても、逆に混乱を生む。設計者の側にも、『絵を描く』+『次工程の積算などへと連携する建物情報を同時入力』しているとの認識を持ってもらうのが必須となる。

 BIMソフトには、通り芯や階高(階数)などの扱いにみられるように、それぞれ固有の癖がある。〔形態情報:Modeling〕と〔属性情報:I=Information〕が1対1の製造業と異なり、「NCS/HELIOS」が根拠とする建築数量積算基準においても、特有の仕様がある。

 日積サーベイでは、設計者による〔形態情報:Modeling〕を効率よく、最大限に〔属性情報:I=Information〕へと連携するべく、きめ細かな技術支援も行っている。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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