BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・119/樋口一希/オーク設備工業のデジタル運用・1  [2016年7月7日]

「Rebro2016」の操作風景

 建築設備専用3次元CAD「Rebro2016(レブロ)」(NYKシステムズ)などの設備BIMを現業で駆使するオーク設備工業のデジタル運用の「現在」を報告する。


 □「Build Live」をターニング・ポイントに実物件での大林組との協働を踏まえBIM化推進□


 オーク設備工業の設備BIM運用は、buildingSMART Japan(旧IAI日本)が主宰するインターネット上の仮想設計コンペ「Build Live」の10年、11年に大林組チームの一員として参加し、最優秀賞・審査員奨励賞受賞に貢献したのが大きなターニング・ポイントとなった。その後、本稿第53~55回「大林組のBIM運用と推進組織」で報告した13年3月竣工のオーク表参道(ハナエ・モリビル:旧青山大林ビル)で実物件での設備BIM運用を経験する。

 オーク表参道は、大林組のBIM推進室が主導し、設計・施工一貫の実物件として初めてBIMを採用したもので、設計施工を貫く全モデルのプラットフォーム=主要なBIMモデル構築のための意匠系BIM:ArchiCAD(グラフィソフトジャパン)とともに、設備系BIM:Rebro(NYKシステムズ)、構造系BIM:Tekla Structure(トリンブル・ソリューションズ)を基本ソフトとして採用した。

 構造BIMモデルの構築環境が未整備で、2次元の構造設計図を採用するなど部分的な課題も抱えつつ、工程を架橋するBIMの「見える化」効果は絶大で、構造では鉄骨ファブリケーターがTekla Structureでモデル構築+工作図を製作、設備ではオーク設備工業がRebroでモデル構築し、両モデルの重ね合わせによる干渉チェック+問題箇所のリストアップを行った。


 □3次元モデルのデジタル連携はレアケースで2次元図面(データ)援用が現状では大多数□


 BIMによる実物件でのデジタル連携を協働した大林組以外の案件では、現状、多くの場合、工程上流の建築(意匠)・構造側から提供されるデータは2次元図面(データ)であり、本格的なBIMによる3次元モデルでの連携には至ってはいない。そのためもあり、「Rebro2016」では、躯体など建物本体の3次元モデルを入力する『建築』データ作成機能を用いて、DWG形式などの2次元図面(データ)=躯体図を下敷きにしてトレースし、高さ情報を付与して3次元躯体データ(独自の3次元モデル=『形態情報:Modeling』)を作成している。

 それら現状を改善する上でも、BIMソフト「Revit」(オートデスク)にアドインソフト「RebroLink2016」をインストールし、中間ファイルのIFCを介さずに、建築(意匠)・構造モデルを独自ファイル(*.RebroLinkFromRevit)形式によって「Rebro2016」に読み込むダイレクト連携(レブロリンク)への期待は大きい。ダイレクト連携(レブロリンク)によって建築(意匠)・構造モデルは、「Rebro2016」固有のモデル形式に変換、データ容量も軽減され、空調・衛生・電気設備機器の3次元モデル追加時にも“軽やかな”運用が実現する。

 設備モデルは、「Rebro2016」上での空調(ダクト)・衛生(配管)・電気(搬送経路)モデルとなり、パラメトリックな性能を付与され、図面の追加作図や干渉検査、配管抵抗計算や圧力損失計算などが可能となる。


 □設備BIM普及に必須の建築・構造系BIMベンダーや建材・設備機器メーカーとの協働体制□


 LIXILがBIMソフト「Revit」(オートデスク)専用のBIMデータ(パーツ)の提供を開始したのに続き、BIMソフト「ArchiCAD」のベンダーであるグラフィソフトジャパンが「TOTOライブラリ」を年内に約100種類、第1弾としてトイレ・手洗器、洗面器など20点を6月23日より提供すると発表した。

 これら建材・設備機器メーカーのBIM対応の背景には、オーク設備工業など建築設備業界のBIM運用が本格化しつつあるとの認識がある。一方で、BIMの推進度にはバラツキがあるため、各社間の協働が一斉始動とはなっていないが、今後とも設備BIMについては、ソフトベンダー、建材・設備機器メーカーの動向も注視し、本稿にて報告していく。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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