BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・150/樋口一希/NTTファシリのBIM-FM連携・2  [2017年2月16日]

出典:オートデスクユーザー事例。設計BIMモデルの成長に合わせて建物管理のための情報が追加・付加される

 NTTファシリティーズの実証実験型オフィス・新大橋ビル(東京都江東区新大橋)におけるBIM-FM連携を可能とした「重要な契機」について検証する。


 □BIM-FMのプロに加えて資産管理ソリューション「Maximo」の日本IBMがプロジェクト参加□


 実施設計段階から施工者である竹中工務店や設備サブコンと協働したことが、FMモデルへと連なる「氏育ちの良い統合BIMモデル」作成の重要な契機となったのは前稿で概説した。

 引き続き重要な契機となったのは、資産管理ソリューション「Maximo」のベンダーである日本IBMのプロジェクトへの参加だ。「Maximo」については、本稿第2~4回「コスト削減効果測定の試み」においても報告している。「Maximo」は、BIMソフト「Revit」で作成したBIMモデルを「Navisworks」を介して受け取り、FMに必須の設備台帳を作成、当該建物の管理運用を擬似的に行い、ライフサイクル・コストを算定する。

 NTTファシリティーズ、竹中工務店に、「Maximo」を提供する日本IBMを加えた3者は、着工3カ月前の13年2月から週1回のペースで定例会議を開き、「FMモデルに必要なデータをBIMモデルからどのように抽出するか」など具体的なBIM-FM連携の方法について検討を続けた。


 □バーチャル竣工によって施工レベルのモデル整合→VHOで建物管理を事前シミュレーション□


 さらなる重要な契機となったのがBIM-FM連携の実現に向けて、着工2カ月後(竣工10カ月前)に竹中工務店が実施したバーチャル竣工(※)だ。

 実施設計段階で作成した意匠・構造・設備の統合BIMモデルを、施工に援用できる総合図レベルのBIMモデルに整合し、バーチャル空間上で建設工事のプロセスまで含めた各種シミュレーションを事前に行う。これによって設計段階では困難であった施工レベルでの設備機器の不整合などが発見でき、より精度の高い施工と、それに基づくFMが可能となる。

 バーチャル竣工後の重要な契機となったのがバーチャル・ハンドオーバー(VHO=仮想的な引き渡し)だ。

 従来手法では通常、竣工後、最短でも数カ月から半年をかけて作成する竣工図書(図面、設備台帳など)を竣工前に準備できるので、建築主=大家は、エネルギー消費や清掃作業などの維持管理費を事前にシミュレーションできる。

 新大橋ビルと同規模の延べ床面積約4300平方メートルのオフィスでBIM-FM連携を実施し、約60年間運用したとすると、ライフサイクル・コスト全体の約19・6%が削減できるとの試算も公表している。

 ※「バーチャル竣工」は竹中工務店の登録商標。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)

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