BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・158/樋口一希/スターツコーポのBIM戦略・3  [2017年3月21日]

データマイニング(自動抽出)技術

 建物を総合的に管理、運用するコンサルティング・サービス「BIM-FM PLATFORM」のポテンシャルをいくつかの実証実験を通して検証する。


 □「BIM-FM PLATFORM」サービス提供の前提となっているBIMソフト運用実績も定量的に分析□


 スターツが設計する平均的な集合住宅では、企画図(平面図・断面構成図)+CG5枚(外観×2・内観×2・エントランス)作成に約3日を要し、従来工数の約40%減を実現。テンプレートや部品類を整備したことで、BIMモデルを実施図レベルに展開すれば、ほぼ100%の実施設計図の出図が可能となり、すでに2次元CADは不要となった。

 神田駅前に上棟間近の25階建てタワーマンション。設計時から、工事担当者も交えてBIMモデルを用いて施工シミュレーションを行うことにより、合意形成の質を高めることで従来比約1カ月の工期短縮を可能としている。

 このように「創る」=設計+「建てる」施工で培ったBIM運用のノウハウを、「管理する」=FM+「経営する」=PMへと連続的に援用するために、ビルオーナー目線に立つべく徹底的な市場調査と実証実験も行った。


 □現状では数多くのビルオーナーがライフサイクルコストを検討する以前の課題解決も熱望□


 ビルオーナーには、「今こそ売却のタイミング」「建て替えて継続運用すべき」「リノベーションして用途変更する」など実にさまざまな提案が持ち込まれる。一方で、多くの場合、経営に直結する建物のバックデータを持っていないし、建物管理の専門家もいないので判断が難しい。ライフサイクルコスト(LCC:Life cycle cost)のシミュレーション以前の課題を抱えているわけだ。

 愛知県で約100店舗を展開する岡崎信用金庫のケース。設計を請け負った新築2店舗+他社設計新築1店舗と築20年経過の2店舗で実証実験を行っている。BIMモデルを援用して建物管理台帳を作成、既設建物では、部材単価情報を活用して過去数年間の工事見積もり情報と掛け合わせ分析した。その結果、「コスト高傾向の部位はどこか」「単価の変動推移は」「いつ工事が集中しているか」など、従来は把握できなかった建物を取り巻く状況が、まさに素通しで見える化できた。


 □「BIM-FM PLATFORM」の中核技術であるデータマイニングについても自社物件で実証実験済み□


 延べ床面積約1万平方メートルの自社建物をBIMソフトでデジタル化したところ、建物を構成するオブジェクト数は約4万件なのが判明した。従来のように、オブジェクトを手拾いし、表計算プログラムなどで集約、建物管理台帳を作成すると、竣工後、数カ月を要するのも当然だし、実質的に手作業では無理だ。

 データマイニング用の基礎的な辞書を用いてBIMによるオブジェクトとFM側の用語をマイニングし、紐付けしたところ、数分間で約6~7割の紐付けが完了した。マイニング用の辞書は学習を続け、成長していくので、使えば使うほど、変換精度は向上していく。

 その後、「BIM-FM PLATFORM」でLCCのシミュレーションを行ったところ、ライフサイクルコスト全体で省エネルギー面では約3%、保守修繕業務では約13%のコスト削減が可能なのが判明した。

 これら実証実験により、「BIM-FM PLATFORM」サービスが「管理する」+「経営する」へと建物運用収益の極大化を図るPM(プロパティマネジメント)の核心をなすのが明らかとなった。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)

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