BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・26/樋口一希/広範囲に及ぶデータ援用の実際・2  [2014年7月24日]

図①「新しい外皮計算の指標(PAL*)について」(日本サステナブル建築協会の公開情報)

図②BIMデータから部屋・開口の読み取り(建築ピボット提供)

 BIMモデル=3次元データを他のシステムと連携して有効利用する事例として、建築ピボットの建築物(非住宅)省エネルギー計算ソフトウェア「SAVE-建築」について報告する。


 □新たに制定されたPAL*(パルスター)に基づき設計対象建物の省エネルギー性能を算定□

 2012年12月(13年9月に一部改正)公布の「低炭素建築物の認定基準」、13年1月(同年9月に一部改正)公布の「住宅・建築物の省エネルギー基準」に基づく関係法令は14年4月から施行され、建築物における外皮性能は、旧基準における年間熱負荷係数(PAL)から新年間熱負荷係数(PAL*=呼称パルスター)に指標が変更になっている。

 PAL*は、各階の屋内周囲空間(ペリメータゾーン)の年間熱負荷をペリメータゾーンの床面積の合計で除して得た数値で、単位はMJ/m2年。

 ※PAL=年間熱負荷係数。Perimeter Annual Loadの略


 □2次元図面(データ)でのPAL値算定をBIM=3次元データでのフロントローディングへ□

 SAVE-建築は、建築物(非住宅)における外皮性能(PAL)と一次エネルギー消費量を計算し、特定行政庁に対する届け出に必要な書類の作成を支援するソフトウェアだ。

 PAL値の算定は、細かくは建物方位、開口部、日除け装置設置場所、空調設備室のゾーニングなどの諸条件に大きく影響され、省エネルギー性能も基本設計段階でほとんどが決定される。実施設計段階でPAL値を最適化しようとしても、実際には断熱材やガラス性能の変更程度しかできない。そこで基本設計段階、さらに上流の計画段階でのPAL値算定が求められる。

 一方で2次元図面(データ)に基づくPAL値算定には手間もかかるため、意匠設計者は設備設計部門や外部の設備業者に依頼し、届け出に必要な書類を作成するケースも散見できる。SAVE-建築は、本来、意匠設計者が行うべき省エネルギー計算を彼らの手元に取り戻し、同時に基本計画段階でのデザイン検討=フロントローディングも行う優れたツールである。


 □ペリメータゾーンの定義に見るようにBIM=3次元データと親和性の高いPAL値算定□

 図〈1〉の「ペリメータゾーンのイメージ」を見れば明確なように、建物の3次元モデルがあれば、そこからPAL値算定の基本データを援用するのは極めて容易だ。そのためSAVE-建築も独自の3次元モデリング機能を持ち、単独運用もできるが、BIMによる3次元データ援用も実現している。

 具体的には、BIMの標準フォーマットであるIFC形式を介して、図〈2〉にあるように、部屋形状と開口データを取り込む。部屋形状が壁の内法形状で表現されている場合も壁芯形状に変換する機能を利用して、形状を編集する手間を削減できるなどきめ細かな配慮がなされており、大幅な作業軽減が図れる。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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