BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・6/樋口一希/BIMソフトによる施工図作成・2  [2014年2月27日]

 清水建設では、福井コンピュータアーキテクトのJ-BIM施工図CADを用いて、RC躯体の3次元データを入力し、それを基に2次元の施工図(RC造・躯体図)を作成している。複雑な躯体形状でなければ、2次元で施工図を描くのと、コストがほぼ同等との運用環境を実現した。本稿では3次元躯体データを徹底活用している現況を報告する。


□コンクリート・型枠などの数量把握で積算精度の向上と的確な施工計画を実現□

 RC造の躯体(基礎、柱、梁、床、壁など)を3次元で構築した躯体データからコンクリート数量、型枠面積を正確に導き出せる。J-BIM施工図CADは、数量計算の機能を持っているのが特色で、同社が採用した理由となっている。


 コンクリート数量を基に、現場特性を踏まえて工区ごとに1日のコンクリート打設量を把握できる。工区別に複数の型枠業者に発注する場合も、発注ミスやロスを削減できる。


 コンクリート数量や型枠面積の正確な把握は施工工程の最適化、作業の効率化、生産性向上に貢献する。


 鉄筋については、構造設計者から構造計算データの提供を受けて、自社開発の中間ファイルを介してJ-BIM施工図CADに読み込むことで鉄筋数量を把握できる。


 「コンクリート数量などが正確に把握できるとともに、積算根拠が保存、共有され、トレサビリティが確保できるのが、3次元で構築した躯体データの特筆すべきメリットだ」(清水建設建築事業本部東京支店生産総合センター生産支援グループ長・室井一夫氏)


□施工現場にもBIMソフトを導入し3次元データによる「施工の前倒し」を実現□

 生産支援グループとして施工現場を支援するとともに、施工現場でJ-BIM施工図CADを直接、運用する体制強化も進めている。外部の施工図事務所にJ-BIM施工図CADを導入してもらい、2次元の施工図(データ)ではなく、3次元躯体データを提供してもらうケースもある。3次元躯体データを施工現場のパソコンに移行し、現場所員が活用する。


 施工対象の建物の躯体を3次元で画面上に表示して、2次元の施工図では不可能な干渉チェックなど可視化を徹底する。コンクリート、型枠、鉄筋の積算機能を用いて的確なコスト把握を実施する。同社では施工現場における3次元データの本格運用を目指している。


 「3次元躯体データを基に、任意の断面を切り、断面図を作成、印刷し、必要に応じて施工実態と突き合わせ確認する。2次元図面では不可能だった、より詳細な納まり検討もでき、施工品質の向上が可能だ」(同生産総合センター生産支援グループ・須永裕之氏)


□3次元データに基づく総合図の作成で施工手順の前倒し検討(バーチャル施工)を実施□

 J-BIM施工図CADによる3次元躯体データをIFC(※)ファイル形式で設備のBIMソフトで読み込み、設備機器を配置する。設備業者の側では2次元図面を読み取り、3次元躯体データを再入力する手間が省ける。施工工程に関わる複数の関係者間で3次元データを共有することで、施工に必要な設備・仕上げ・仮設などを合成した3次元の総合図を作成する。これにより、早い段階での施工手順の「前倒し検討」が可能となる。


 次回はBIMソフトを設計施工を通して活用するメリットについて報告する。


 ※IFC(Industry Foundation Classes):BIMソフトで作成した建物の3次元モデルデータを異なるソフト間で交換(読み書き)するための国際的なファイル規格。

 〈アーキネット事務局〉(毎週木曜日掲載)

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