BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・170/樋口一希/建築分野向けAR/VRシステム  [2017年5月2日]

実物大の図面を現場で見られる「GyroEye Holo」の使用イメージ

 インフォマティクス(川崎市幸区大宮町)は、今夏発売予定の建築分野向けAR/VRシステム「GyroEye(ジャイロアイ)」シリーズの新製品ラインアップ2種を発表した。


 □既存の設計図面を実寸でホログラムとして現実世界(視野内)に投影して検証などに援用□


 インフォマティクスは「建築とコンピュータ」分野の老舗企業で、前身は、現会長の長島雅則氏が設立し、81年10月にGDS(General Drafting System)の販売を始めたエー・アール・シー・ヤマギワだ。現在は主にGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を中心に広く市場供給している。

 今回の新製品は、日本マイクロソフトが1月18日に発売したホログラフィックコンピューター「Microsoft HoloLens」対応のアプリケーション2種。

 Microsoft HoloLens対応版アプリケーション「GyroEye Holo」は、建築現場などで設計図面を実寸大でホログラムとして現実世界に投影し、検証作業などを視覚的に支援するもの。

 クラウド型コンテンツ管理アプリケーション「GyroEye CMS」は、インターネット経由でHoloLensと連携し、「GyroEye Holo」で使用する各種情報をクラウド上で管理、共有できるシステムで、オフィス内の設計者と現場所員との間の情報の受け渡しやデータ管理をサポートする。


 □ホロレンズを開発したマイクロソフトも当初から医療などとともに建築分野への援用を想定□


 「Microsoft HoloLens」は、複合現実(MR:Mixed Reality)対応ゴーグルで、Windowsが内蔵されているため、パソコンなどと接続しなくとも自己完結型デバイスとして利用できる。

 複合現実とは、「眼の前のリアルな現実世界」と「3Dのホログラム世界」を複合化したもの。当初から建築分野での利用が想定されており、オフィシャルサイトには、「建築のこれまでと未来〈AEC企業をどのように変換できるかを見る〉」と題して、王立英国建築家協会(Royal Institute of British Architects:RIBA)から17年にゴールドメダルを贈られた建築家のパウロ・メンデス・ダ・ロシャ(Paulo Mendes da Rocha)氏の利用事例が報告されている。


 □バーチャル(デジタル)をリアル(フィジカル)世界と連携して運用するメリットに注目□


 「GyroEye Holo」をインフォマティクスの会議室で実際に装着してみた。目の前にはリアルな現実世界として会議室が見え、視野内の領域に、現実世界と合致した白抜きの画面が視認できた。

 現状では、2次元CAD図面をDXFファイル形式で読み込んで利用しているが、3次元モデルの読み込みも計画している。従来、モデルは3次元だが、表示+視認は2次元画面上で行っていた。3次元モデルが視野内に表示できれば、現場状況とモデルを合致させて貫通スリーブの入れ忘れや配筋ミスなども確認できる。

 建築分野でのコンピュータ利用との類似点と差異を知るため、かつて橋梁と造船分野の企業を訪問した。共通していたのは、原寸で図面を描いていたことだ。デジタル化が進んだ現在、「原寸とは」「原寸のスケール感とは何か」を再考するとともに、デジタル化した情報をフィジカルな現実世界に取り戻して再利用するメリットも注目すべきだ。


 □建築工程全般を「見える化」で支援するソリューションとしてAR/VRシステムを位置付ける□


 本稿第163回「小規模工務店のBIM」の福登建設でも報告したように、設計施工段階などで構築した3次元モデルを容易に援用できるAR/VRシステムは、建築工程全般を「見える化」で支援するソリューションとして位置付けられる。

 PS2(ピクチャー・システム2)で知られるアイバン・エドワード・サザーランド(Ivan Edward Sutherland)がAR/VRに用いるヘッドマウントディスプレー(Head Mounted Display)を考案し、初歩的な実験を行ったのは60年代だ。優れた構想力こそが今、現実となりつつある近未来を予見する。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)

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