BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・57/樋口一希/建築鉄骨業向けMRソリューション  [2018年6月21日]

MRデバイスを通さずにみた鉄骨

MRデバイスで視認した鉄骨

 宮村鉄工(高知県香美市)では、MR(Mixed Reality):複合現実=技術を活用した「建築鉄骨業製造支援ソリューション」を開発し、有償トライアル提供を開始、初回の募集では清水スチール(埼玉県秩父市)を含めた5社への提供が決定している。

 □現実の鋼材と図面を合わせて視認することで完成物との関係性を直感的に捉える□

 建設業界においてもMRを実現するシステムとして普及が進むのがマイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」だ。透明なレンズを搭載したゴーグルで3次元ホログラムを現実世界と融合させて表示できる。
 同ソリューションはWebサービスと「HoloLens」を用いるMRデバイスアプリから構成され、鉄骨業者の多くが使用する3次元CAD・BIMソフトなどから出力されるデータを利用する。MRデバイスアプリでは現実の鋼材と図面を合わせて視認することで完成物との関係性を直感的に捉えることができる。実証実験では複雑な製品の製造にかかる時間(熟練工50分程度)を大幅に短縮(事務員15分程度)できることを確認した。NTTドコモが運営する共同事業開発プログラム「39works」(※)により生まれたサービスでNTTドコモの技術協力によって宮村鉄工がサービス提供・運営を行う。
 ※39works=社外パートナーとプロジェクト体制を組み、一体となって「企画から開発、運用、保守まで」を一貫して実施するプログラム。

 □「HoloLens」を罫書きの代行として用いて各種部材の取り付け位置を的確に明示□

 鉄骨業者が工場で鉄骨を製造する際に熟練工でも多くの時間を要したのが鋼材への罫書き作業だ。製作図面を確認しながら接合部材などの取り付け位置を鋼材表面に描き込みつつ、罫書きと合致しているかを再度、確認する必要があるためだ。
 同ソリューションでは、鉄骨の3次元モデルを基に加工前の鋼材を表示させ、各種部材を取り付けた完成後の鋼材として複合的に表示できる。このように「HoloLens」を罫書きの代行として用いて各種部材の取り付け位置を的確に明示し、製作図面と完成後の鋼材との関係性を複合的に捉えることよって、実証実験の結果にあるように、熟練工の作業を事務員に肩代わりさせても作業時間1/4の短縮を可能にしている。作業時間の短縮とともに図面展開のミスを削減することで利益率向上にも貢献している。
 《VR・AR・MRの特徴と適用範囲》

・VR(Virtual Reality):仮想現実=VR用ゴーグルを装着して映像世界に入り込んだかのような体験ができる技術。スマホゲームなどで用いられることが多く、ゲーム世界に存在しているような感覚を味わえる。

・AR(Augmented Reality):拡張現実=3次元映像やキャラクターなどを現実の風景と重ねて投影することで、現実世界と仮想世界を重ねて拡張する技術。「ポケモンGO」や自撮りの顔に動物の耳や鼻などを重ねて合成するカメラアプリ「SNOW(スノー)」が代表例だ。

・MR(Mixed Reality):複合現実=ARをより発展させ、仮想世界と現実世界を融合させる技術。仮想世界と現実世界が相互にリアルタイムで影響し合う世界を実現するため複合現実と呼ばれる。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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