BIMのその先を目指して・64/樋口一希/YKKAPの未来ドア

2018年8月9日 トップニュース

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 YKKAPでは、AI(人工知能)や顔認証システムを搭載した未来ドア「UPDATE GATE」を開発、20年の発売に向けてYKKAPショールーム新宿特設ギャラリーにおいて一般公開展示し、見学者の意見集約を進めている。

 □デジタル化の進化によって挙動しつながる建築への新たな提案としての未来窓プロジェクト□

 「創るための設計BIM」「建てるための施工BIM」から「維持管理するFM-BIM」へと建築分野のデジタル化は急速に進行している。製造業でのIoT(Internet of Things)は業際を超えてIoB(Internet of Buildings)へと拡張し、Connected Carという概念もConnected Buildingへと近接している。本事例は、建築の外縁に位置する建材メーカーからのそれらの動向への提案と位置づけられる。
 未来ドア「UPDATE GATE」は、16年4月に端を発する建材の未来の可能性を追求する未来窓プロジェクトを受けて、商品化へ向けたフェーズとして窓からドアへと対象を移したもので、Will Smart(東京都中央区、ゼンリンデータコムの社内ベンチャー企業)と共に開発している。「通るたび、毎日をアップデート。」というコンセプトに基づき、社会課題と向き合いながら、毎日をより便利にして、家族のコミュニケーションがより楽しくなるようにサポートしてくれるドアを指向している。

 □AI+顔認証で対話と情報提供・ハンドルレス非接触の自動開閉・動く&変化するデザイン□

 ドアがエージェント(仲介者)となって外出前に交通情報や天候情報など家族一人一人に合った情報を伝えるので高齢者やペットの見守りなど社会課題の解決にも貢献する。顔認証によって人物を判別し、ドアを自動開閉するセキュリティシステムを採用しているので、介護サービスや宅配業者とのやり取り時などの安全性も確保できる。
 NTTドコモが「ドコモAIエージェント・オープンパートナーイニシアティブ」における基本システムであるAIエージェントAPIを提供、AIエージェントAPIが家族との対話を通じて、一人一人の要望に的確に応えたサービスを提供している。

 《機能紹介》(特許申請中)
 AI学習機能〔対話-コミュニケーション〕
 「UPDATE GATE」が日々の生活を記録して生活行動を学習し、家族の執事のように最適な情報を伝達する。通勤時の電車情報、天気予報、ゴミの日情報に加え、1日のスケジュールなど家族一人一人に合わせた情報をリマインドする。

 顔認証・センシング機能〔自動開閉-セキュリティ〕
 玄関前で鍵を探して施解錠する必要もない。センサー感知と顔認証によって家族であれば扉を自動開閉するのでドアハンドルがないからだ。来訪頻度の高い介護ヘルパーや宅配業者の顔を事前登録するのでゲストとして判別し招き入れることも可能だ。

 先端システム連携機能〔見守り-IoT〕
 「UPDATE GATE」とスマートフォンが連携し、突然の来訪者があってもスマートフォンから確認ができ、大切な家族やペットの見守りの役目も果たす。室内のさまざまな家電と接続することで、玄関空間で照明やエアコンをコントロール・見える化できる。

 デザイン変動機能〔映え-マイデザイン〕
 扉の室外側には自在に演出できるパネルデザインを採用。動画により動きのあるデザインにすることや季節に応じた設え、思い出のテクスチャーの貼り込みなども可能。住宅の顔である玄関ドアを自分好みのオリジナルデザインにすることができる。
  〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)