BIMのその先を目指して・75/樋口一希/凸版印刷のバーチャルモデルルーム

2018年11月8日 トップニュース

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 VR/MR/AR技術の建築分野への援用が急速に進んでいる。日本建築学会からも関連する情報小委員会の開設間近とも聞こえてくる。凸版印刷では、VR設計において高いノウハウを有するヒストリア(品川区)とマンションなどのモデルルームをVR映像でリアルに再現し、バーチャル空間での内見が可能なVRシミュレーションシステム「トッパンバーチャルモデルルーム」を共同開発して11月から本格的に販売を開始する。

 □ゲーム型コントローラーで空間内の移動+床・扉・壁紙などデザインの瞬時の切り替えが可能□

 「トッパンバーチャルモデルルーム」は、凸版印刷が長年にわたり培ってきた高精細な画像処理技術により、バーチャル空間に内装や家具などのリアルな質感表現を可能にしたもの。ゲーム型コントローラーを用いた空間内の自在な移動が可能なほか、床や扉、壁紙などを好みのデザインに瞬時に切り替えができるなど、VRならではのシミュレーションが可能。間取りやインテリアスタイルの変更も可能なため、短時間で効率的に多彩なプランの可視化を実現。マンション購入検討者の要望をリアルタイムに反映できるため、より具体性のある商談が可能となり、販売機会の最大化に貢献する。
 凸版印刷の高精細な画像処理技術によるリアルな質感表現と、ヒストリアの高速処理技術とユーザー・インターフェイス設計力を活用したシミュレーション技術により、マンション購入検討者の要望をバーチャルで精確に再現できるVRシミュレーションシステムとして「トッパンバーチャルモデルルーム」を開発した。

 □モデルルームの代替として使用可能な室内空間をリアルに体感できる高精細なVRシステム□

 VR技術はメーカーや小売り、観光といったさまざまな業界への援用も進んでおり、不動産業界においては早くから一戸建て住宅やマンションをVR映像で仮想内見するサービスが展開されている。一方で、従来のVRによる内見は空間イメージや簡易シミュレーションにとどまり、マンション購入検討者の要望をリアルタイムにVRに反映することは困難であった。また、マンションモデルルームを建てるための用地取得が困難であり、設置にも多額の費用がかかることから、モデルルームの代替として使用可能な、空間をリアルに体感できる高精細なVRシステムが求められていた。

 □日照・照明の変化+身長に合わせた視点高さ+窓からの眺望など居住シーンにマッチしたVR□

 VR技術とゲーム開発技術が融合して用いられるのも直近の傾向だ。「トッパンバーチャルモデルルーム」でもゲーム用のグラフィック技術により、空間を自在に移動しながら、瞬時に多彩なシミュレーションが可能だ。床や扉、家具などのラインアップの中から好みのデザインを選択すると瞬時にデザインが切り替わる。事前の設定次第でインテリアスタイルの一括変更や3LDKから2LDKなどへの間取りの変更も可能(間取り変更はオプション機能)。
 居住者の生活シーンにマッチしたシミュレーションが可能で日照や照明による部屋の見え方の変化を再現できる。身長に合わせた視点の高さの変更や窓からの眺望をVR内に表示することができるため、よりリアルなシミュレーションとなる(眺望表示はオプション機能)。
 マンション販売支援VRでは、大画面モニターでの共有、ヘッドマウントディスプレイによる没入体験が可能なため、居住者への提案シーンに合わせて活用できる。VR内の任意の画角で4K高精細画像を出力できるため、広告やWebなどの販促ツールにも使用可能だ。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)