建設キャリアアップシステムへの道・5/職人の「誇り」詰まったカード発行

2018年12月25日 トップニュース

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 ◇表面に14桁IDを印字
 建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)を運営主体に来年4月から運用される建設キャリアアップシステムは、初年度に100万人、5年後までに300万人を超える建設技能者すべての登録を目標としている。登録した技能者には、建設キャリアアップカードが配布される。同システムで蓄積する情報が引き出せる「職人の誇りが詰まったカード」(振興基金)だ。
 カードの表面には14桁の技能者IDと発行回数が印字されている。IDとパスワードを使ってシステムにログインすると、クラウドサーバーに蓄積されている技能者の本人情報に加え、所属事業者や社会保険加入状況、職種、保有資格、研修などの受講履歴、表彰などの履歴が確認でき出力することも可能だ。新たに資格を取得した時は、情報を追加することもできる。
 カードを現場に置かれたカードリーダーにかざすと、どの現場で、どういう立場を任され、どのような作業内容で働いたかの就業履歴情報が蓄積されていく。同システムの構築に当たって、国土交通省と振興基金は技能者の持つ技能や経験に応じ適正な評価や処遇を実現する、業界共通のインフラを目指して具体化を図ってきた。カードは登録を済ませた技能者に簡易書留で順次届くことになっている。  現在発行されているのは一般向けの白カードと、登録基幹技能者を対象に配布するカードがゴールドの2種類。最終的には能力に応じて初級技能者を「レベル1」(白)、一人前の技能者を「レベル2」(ブルー)、職長を「レベル3」(シルバー)、登録基幹技能者など高度なマネジメント能力を有する技能者を「レベル4」(ゴールド)に色分けする予定だ。
 4段階のカード色分けは、国土交通省が進めている検討を踏まえて、各専門工事業団体が19年度以降に行うことになる技能者の能力評価制度に対応して発行していくことになる。
 登録手続きを済ませシステムにログインをしてみた技能者からは、「保有資格のリストを見て、頑張ってもっと資格を増やしたいと思った」「技能者ランク欄に『白』と書いてあり、頑張って『ゴールド』になろうと決意した」「19年度から現場で日々就業履歴が蓄積されていくのが楽しみ」などの感想が、振興基金にも寄せられているという。
 業界統一ルールで運用されるカードは「ザ・職人身分証明書」(内田俊一前振興基金理事長)であり、それを持っていることは「業界がその人を建設職人であると認めた」(蟹澤宏剛芝浦工大教授)という証しとなる。
 建設キャリアアップシステムは、これまであいまいだった職人の社会的地位を確立し、誇りを持ってものづくりに従事できるようにする仕組みとしても大きな意義があるといえそうだ。=随時掲載