紙面で振り返る平成の歩み・5/5(1993)年/一般競争に移行

2019年2月13日 トップニュース

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 △90年続いた指名競争入札から一般競争入札に改革
 △業界に企業倫理や適正な会計処理が問われる
 △日建連会長に当時54歳の前田又兵衛氏が就任
 前年11月に中央建設業審議会(中建審)がまとめた答申・建議は、従来の指名競争入札の改善が主眼となり、これを実現に移す年として1993年がスタートした。その時点ではまだ、その後の建設業の在り方に大きな影響を及ぼすエポックな年になるとは、誰も予想していなかったのではないだろうか。
 きっかけは3月に金丸信元衆院議員の所得税法違反による逮捕で、6月末には元仙台市長の贈収賄事件が発覚し、業界のトップ企業からも逮捕者が出る事態になった。
 指名競争入札は官民癒着の原因と社会的批判を受け、建設省(現国土交通省)も約90年続いた指名競争入札が基本の入札制度を、原則一般競争入札へと改革せざるを得なかった。二次にわたるプログラムに基づく建設産業の構造改革も「仕切り直しだ」(当時の望月薫雄事務次官)として、「近代化」をキーワードに業界の体質改善を図るという方針が示された。
 一般競争入札については自治体が率先して試行に踏み切ったことでその流れが加速。業者間のなれ合いや談合を生み出しかねないと指摘された工事完成保証人制度の見直しも進んだ。
 一連の不祥事で業界には、企業倫理や適正な会計処理が問われた。日本土木工業協会(現日本建設業連合会)は官民懇談会の中止を決定。3カ月間トップが不在だった当時の日本建設業団体連合会(同)は、54歳と若かった前田建設社長の前田顕治(又兵衞)氏に業界のかじ取り役を託した。