大林組は、ビジュアル工程管理システム「プロミエ」(※)の機能を拡充し、BIMを情報基盤とする現場施工管理のプラットフォームとして建設プロジェクト全体の管理に活用できるビジュアルプロジェクト管理システムに改良した。BIMと点群データを重畳表示して現場の進捗(しんちょく)管理を自動的に行う機能が搭載された点が拡充の要諦となっている。今後も「プロミエ」の機能拡張を図るとともに外販していく方針も表明した。 (※)プロミエ=ProMIE(Project Management in Integrated Environment)。「プロジェクトが見える」という意味。 □BIMモデル援用で工事進捗を視覚的に把握し工程などをリアルタイムで管理するWebアプリ□ ビジュアル工程管理システム「プロミエ」は、BIMモデルを援用することで鉄骨工事や躯体工事などの進捗を視覚的に把握し、リアルタイムで鉄骨など各建設部材の作業工程などを管理するWebアプリケーションだ。 クラウドサービスと連携したBIMモデルを利用することによって、対象工事の進捗状況を3次元で視覚的に確認、管理でき、発注者や協力会社などの関係者間においてリアルタイムで情報共有できる。記録された実施情報をCSVファイルとして出力できるため、BIMモデルが内包する数量情報(重量、面積、体積など)と連携して月ごとの工事出来高数量を容易に把握できる。そのため施工実施記録から工事出来高の算出が容易になり、従来の作業の手間や人為的なミスを低減できる。 □BIMモデルと合致する点群データを利用し所定の位置への部材の配置を認識して実存判定□ 改良版のビジュアル工程管理システム「プロミエ」では、BIMモデルと点群データを重畳表示することによって、自動的に実存判定する機能を搭載しており、点群データの取得日段階での進捗実績データとしてシステムに反映できる。実存判定とは、図にあるように、BIMモデルと合致する点群データが一定数存在することを利用して、所定の位置に部材が配置されたことを認識し、判定する機能を指す。 出来高表やグラフの表示、帳票出力機能を追加装備している。BIMモデルが属性データとして内包する数量情報と実績データに基づいて出来高数量を算出し、グラフや表を表示する。算出された出来高数量は専門工事会社と共有し、帳票出力機能で出力した出来高帳票を毎月の請求処理に利用できる。試行現場では、施工管理業務の効率化が図れ、請求処理時の出来高数量算出に要する時間を約20%短縮することに成功している。 □マルチ画面化でBIMモデルと部材一覧表を並べて計画と実績の進捗を比較することが可能□ 改良版では、操作性向上のためにマルチ画面化し、プロジェクト内の複数の工事を効率的に一元管理できるようになった。具体的には、BIMモデルと部材の一覧表を並べて情報確認することや計画と実績の進捗を比較することが可能だ。画面表示は、1画面・2画面の切り替えが可能で、それぞれの画面は「3D標準」「3D計画」「3D実績」「3D進捗」および「一覧表」から選択できる。マルチ画面は連動しており、アングルや選択部材が同期して表示される。 ユーザーごとのアクセス権限を設定することによって、施工管理者は施工部材の製作状況や現場の施工進捗状況などを顧客や設計者、協力会社と情報共有できる。 3次元レーザースキャナーなどで現実世界をスキャン、計測して「As build=建物そのままに」、点の集合体としてデジタル空間上に再現する技術革新は建設業においても急速に進展している。「プロミエ」では、建てるBIM=施工BIMによって生成された3次元建物モデルと、日々変容する工事進捗中の建物の点群データを重畳表示させ、実存判定できるようになった。 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)