能登半島地震/九州整備局が被災調査でDX技術活用、人命救助にも3Dモデル

2024年2月7日 行政・団体 [9面]

文字サイズ

 能登半島地震の被災状況調査で、九州地方整備局が構築してきた災害対応のDX技術が活躍している。テックフォース(緊急災害対策派遣隊)として現地に派遣された九州整備局インフラDX推進室の職員がドローンで空撮した画像とAI技術を基に被災箇所の3Dモデルを作成。本来はインフラ復旧が目的だった3Dモデルは消防隊員にも初めて共有され、人命救助にも活用された。九州整備局のDXの取り組みは新たな段階を迎えようとしている。
 同室から現地に派遣された4人の職員は、1月14~20日に石川県の輪島市、珠洲市で活動した。津波が襲った漁港や、土砂崩れが発生している山地などをドローンで空撮。撮影した画像データを専用クラウドのフォルダーに入れるだけで、AIが点群データや3Dモデル、写真上のずれを補正したオルソモザイクなどを自動生成するシステムで、被災箇所の3Dモデルをわずか1日で作成することに成功した。
 九州整備局によると、日中にポールやメジャーなどを使って手動計測し、夜間にデータ整理と資料作成を行う従来の手順であれば調査完了までに約2週間はかかっていたという。
 3Dモデルは距離情報など、ほかのデータと組み合わせることで、復旧の詳細設計、自治体が行う災害査定の基礎資料として活用できる上、夜間にAIが自動処理をするために職員の業務負担の大幅な軽減につながった。
 同室の南竹知己課長補佐は「安定した通信環境を確保できれば、取得した画像のクラウド共有も大きな問題なく行うことができた」と手応えを示す。一方、九州整備局では積雪のある地域環境に適した機材を所有していない点が課題になったとし、「隊員はさまざまな工夫を凝らしながら、しっかりと対応していた」と振り返る。
 九州整備局は完成した3Dモデルをインフラ復旧以外でも役立てようと、現地で人命救助のために活動する消防隊員にも共有。さらに行政以外の組織や個人でも3Dモデルや被災地の360度画像を自由に使えるよう、国土交通省のホームページで無料公開した。
 同室の房前和朋建設専門官は「3Dモデルを使えば、現地に入らなくても復旧に向けた工法を細かく議論することも可能だ。外部の方にも積極的に活用してもらえれば」と3Dモデルの多用途での活用に期待する。