24年度の建築着工2・0%増、法施行前の駆け込み影響で/国交省

2025年5月1日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省が建築着工統計調査の最新結果を4月30日公表し、2024年度(24年4月~25年3月)に着工した住宅戸数は前年度比2・0%増の81万6018戸だった。09年度(77万5277戸)以来の80万戸割れは免れたが、年度明けに改正建築物省エネ法・建築基準法が全面施行する前の駆け込み着工の影響が大きく、当面は物価高などを要因とした低水準な住宅需要が続く見通しだ。
 新設住宅着工戸数の内訳は、持ち家が1・6%増の22万3079戸、貸家が4・8%増の35万6893戸。分譲住宅は2・4%減の22万9440戸で、うちマンションは5・0%増の10万5227戸だった。
 月単位で見ると、3月の着工戸数が前年同月比39・1%増の8万9432戸だった。国交省住宅局の事業者ヒアリングによると「改正法が4月に施行するため着工を前倒しした」との声が一部あった。改正法で原則すべての新築住宅・建築物の省エネ基準への適合が義務化され、審査省略制度(いわゆる4号特例)の範囲も縮小される。新たな規制・手続きが求められる前に着工を急ぐ案件が一時的に増えたとみられる。
 実際に事業者ヒアリングでは、特に持ち家で「物価上昇の影響で今後も低水準では」との予測が大勢を占める。3月の着工戸数が前年同月並みであれば、年度トータルで80万戸を割っていただけに、年度明けの反動も含めて先行きは楽観視できないと言えそうだ。
 民間非居住建築物の着工床面積は24年度に前年度比10・5%減の3474万平方メートル。3月は前年同期比10・4%増の318万平方メートルだったが、年度トータルでは09年度(3486万平方メートル)を下回り、統計を確認できる過去半世紀ほどで最低だった。
 主な用途別では「事務所」が18・8%減の464万平方メートル、「店舗」が4・9%増の378万平方メートル、「工場」が7・9%減の662万平方メートル、「倉庫」が12・6%減の1026万平方メートルだった。