農水省/農業・漁業施設の強靱化推進、防災・減災施策細分化し目標設定

2025年8月6日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 農林水産省は農業、漁業両分野で国土強靱化対策を推進する。政府が6月に閣議決定した第1次国土強靱化実施中期計画(2026~30年度)の「推進が特に必要な施策」として、これまでの防災・減災対策を細分化した上で新たな取り組みと目標を定めた。基幹的農業水利施設の水路約4200キロと施設730カ所では、機能診断を踏まえた保全対策の完了率(23年度0%)の目標を30年度に70%に設定した。44年度には100%にする。
 推進が特に必要な施策には、災害リスクの実情や緊急性などから対応を特に急ぐものに位置付けられており、関係府省庁の114施策が列挙されている。農水省は、25年度までの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」にある「農業水利施設等の老朽化、豪雨・地震対策」や「漁港施設の耐震・耐津波・耐波浪化等の対策」を114施策の一部に振り分けた。それぞれの現況、30年度と将来の目標を定めた。
 基幹的農業水利施設はこれまでも予算を措置し、必要な対策を進めてきている。水路約4200キロ、施設約730カ所は「農業水利施設等の機能診断を踏まえた保全対策」として新たに取り組むため、現況(23年度)の完了率が0%ながら、更新が必要と判明しているため、予防保全の対応で長寿命化していく。
 「農道・農道橋等の点検・診断を踏まえた保全対策」では、農道橋・農道トンネル237カ所(23年度完了率0%)の完了率の目標を30年度21%に設定した。44年度の100%を目指す。
 漁港施設の耐震・耐津波・耐波浪化等の対策は、114施策で「漁港施設の耐震・耐津波・耐波浪化等」として、流通や災害時物資輸送の拠点となる全国272漁港と、定期離島航路のある全国150漁港の主要施設(岸壁、防波堤など)の対策の目標を示した。大規模な地震、津波といった災害への対応力の強化が必要と判断し、被災時の復旧体制の構築を含めて備えを強化することにしている。
 《推進が特に必要な施策に盛り込んだ主な取り組み》
 「農業水利施設の耐震化」 ▽国営造成施設23施設の対策完了率=23年度48%、30年度91%、34年度100%
 「農業水利施設等の機能診断を踏まえた保全対策」
 ▽基幹的農業水利施設(水路約4200キロ、施設約730カ所)の対策完了率=23年度0%、30年度70%、34年度100%
 「農道・農道橋等の点検・診断を踏まえた保全対策」
 ▽農道橋・農道トンネル237カ所の対策完了率=23年度0%、30年度21%、34年度100%
 ▽林道橋および林道トンネル3252施設の対策完了率=23年度30%、30年度71%、34年度100%
 「集落排水施設の耐震性能照査・保全対策」
 ▽農業集落排水施設3400施設の更新対策完了率=23年度0%、30年度12%、49年度100%
 ▽漁業集落排水施設全国300地区の対策完了率=23年度0%、30年度20%、45年度100%
 ▽農業集落排水1400施設の耐震性能照査完了率=23年度0%、30年度100%
 「漁港施設の耐震・耐津波・波浪化等」
 ▽全国272漁港のうち、主要施設(岸壁、防波堤など)の必要な耐震・耐津波・耐浪化対策が完了した割合=23年度16%、30年度40%、53年度100%
 ▽定期的な離島航路のある全国150漁港のうち、主要施設(岸壁、防波堤など)の必要な耐震・耐津波・耐浪化対策が完了した割合=23年度15%、30年度40%、53年度100%。