舗装工事業の24年業績動向、価格転嫁進み増収増益/東京商工リサーチ調べ

2025年5月2日 論説・コラム [3面]

文字サイズ

 道路舗装会社が堅調に売り上げを伸ばしている。東京商工リサーチが1日発表した調査結果によると、全国3071社の2024年業績は売上高が前年比1・4%増の2兆7023億円となった。純利益もコロナ禍前の水準には届かなかったものの、19・3%増の1036億円と3年ぶりに増益に転じた。資材高騰や労務費上昇などの影響による建設コストの高止まりが続く中、同社は工事費への価格転嫁が着実に進んでいると分析している。
 全国の舗装工事業のうち5期連続で業績が判明した3071社を対象に、23年12~24年11月期を最新期とする24年の業績を調査した。調査は1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、道路インフラの建設や維持管理の担い手となる舗装工事業の現状を認識する狙いがある。売上高100億円以上の企業は24社で調査対象全体の0・7%にとどまるが、売上高全体の54・7%を占める。
 売上高の増減を企業数で見ると、増収が1582社、減収が1469社、横ばいが20社。伸長率は10~100%未満が964社で最も多かった。
 最終損益は黒字が0・2%増の2465社と全体の8割超を占めた。黒字企業の地区別内訳は北陸が84社中73社の86・9%でトップ。同社は能登半島地震の復興需要が業績に寄与した可能性があると見る。一方、黒字企業の割合が低かったのは東北が319社中224社の70・2%、中国が248社中186社の75・0%、北海道が196社中149社の76・0%と続いた。
 倒産や休廃業・解散の発生件数は32・6%増の計69件となり、過去10年間では16年と並び最多だった。同社は背景に事業承継が進まずコスト上昇分を反映した工事費が下請まで行き届いていない状況があるとして、営業不振や赤字累積、回収難などにつながっている可能性を指摘。引き続きコスト上昇分をどこまで吸収できるかが業績の安定や向上で鍵を握りそうだ。

同一ジャンルの最新記事


2025年5月1日 [1面]

2025年4月28日 [1面]