日建連/直轄工事の監理技術者制度で交代要件に育児休業追加提案、手続き簡素化も

2025年5月8日 行政・団体 [1面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は若手技術者の定着と育成を目的に、直轄工事で監理技術者制度の運用要件を緩和するよう国土交通省に求める考えだ。現行の運用ではよほどの事情がない限り監理技術者の交代が認められていない。日建連は若い世代で転勤や異動が退職理由の上位を占めていることを問題視。対策として監理技術者の交代要件に育児休業などを加えることや、交代手続きの簡略化、短期間の遠隔管理などを提案する。
 日建連は2024年10、11月に「若手土木技術者の離職防止等および監理技術者制度の課題に関するアンケート調査」を実施。公共工事委員会企業評価部会の18社が回答した。調査結果によると22年の離職率の平均は、30歳未満が6・7%と年代別では最も高く、前回調査(17年)の4・8%から上昇している。
 30歳未満の離職理由(複数回答可)を見ると、「稼業継承」と「転勤・異動」(いずれも67%)が最も高い割合を占めた。「職務の不適正(監理技術者制度の障害)」も22%を占めており、育児や介護といったライフイベントの変化に対応できない土木技術者の働き方に課題があることが分かった。
 日建連は直轄工事の監理技術者制度の在り方が「出産や介護といった事情を抱える若い世代の定着や女性の現場進出に当たってネックになっている」と懸念。12日から全国9地区で開く国交省地方整備局など公共発注機関との25年度意見交換会で、制度の要件緩和などを訴えていく。
 具体的には現行の交代要件となっている死亡、傷病、被災、退職などに「妊娠」「産前産後休業」「育児休業」などの追加や、交代手続きを簡略化して申請書の提出だけで済ませるといった要件緩和を要求。監理技術者が短期間現場を離れる場合、代理を立てた上で自宅などから遠隔でフォローする体制の容認などを求める。
 ライフイベントなどを理由とする途中交代に柔軟に対応できるようにすることで、若手技術者の離職防止や担い手の確保につなげる狙いだ。