静岡県と浜名湖沿岸2市、漁協組合などで構成する浜名湖水辺整備推進協議会は、「浜名湖水辺整備基本計画」を策定した。全周約120キロの湖岸堤の約5割が老朽化や防護機能不足などで再整備が急がれる一方、観光やマリンスポーツなどの水辺利用も進んでいるため、関係者間で共通認識を持ち防護水準や利用・環境面が調和した水辺空間整備を目指す。今後、具体的な実施箇所や実施主体などを協議し都田川河川整備計画に位置付ける。
想定される高潮や津波に対し、浜名湖沿岸に設置されている湖岸堤のうち約55キロの区間で高さが不足している。民間所有区間を中心とした老朽化も進み、台風の大型化や南海トラフ地震などの災害リスクに対する湖岸堤整備の重要性が高まっている。
基本計画では、地域とのつながりや利用状況、地形などを考慮し、▽舞阪・弁天島・新居▽庄内・舘山寺▽細江湖▽猪鼻湖▽鷲津・新所・入出-の5エリアに分け、目指す姿や整備に際しての配慮事項を示した。湖岸利用が少ない場所や親水性が求められる場所などで想定される湖岸堤の断面イメージも複数示した。
今後は行政と民間、団体が調整・連携し湖岸堤整備の実施箇所などを協議する。浜名湖の魅力向上につながる利用や観光、環境・景観に関する取り組みは「かわまちづくり」支援制度の活用も検討する。具体的に事業を実施する区間などを固めた後、都田川水系河川整備計画の変更手続きを進める。26年度中の変更を目指す。
浜名湖水辺整備推進協議会は県、浜松市、湖西市、浜名漁業協同組合、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー、浜名湖総合環境財団で構成。老朽化や高さ不足などの課題がある湖岸堤を含めた浜名湖の水辺空間について、高潮や津波に対する「防護」だけでなく観光や水産振興などの「利用」、景観や自然などの「環境」が調和した水辺空間の在り方を検討するため2022年12月に初会合を開き、これまで協議を進めていた。